「源氏物語」の戻し訳(3) ウェイリーは和歌をどう訳したか

アーサー・ウェイリーによる「源氏物語」の英訳 The Tale of Genji を再び日本語に「戻し訳」をした毬矢まりえ氏と妹の森山恵氏。毬矢まりえ氏によるラジオ「カルチャーラジオ 日曜カルチャー」より。 前回は「源氏物語」の核となる「あはれ」をウェイリーがどう訳したかについて書きましたが,この物語には795の歌(和歌)が出てく…
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「源氏物語」の戻し訳(2) ウェイリーは「あはれ」をどう訳したか

約1000年前の「源氏物語」を約100年前に英訳したのがアーサー・ウェイリー。 彼の功績によって「源氏物語」The Tale of Genji は世界文学の仲間入りを果たしました。 そして,2017年末,俳人で評論家の毬矢まりえ氏と妹の森山恵氏によって,新たな The Tale of Genji の日本語訳,つまり新しい…
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「源氏物語」の戻し訳(1)

現在,大河ドラマ「光る君へ」が放送されています。 光る君へ 後編 NHK大河ドラマ・ガイド - 大石 静, NHK出版, NHKドラマ制作班 私はほとんど見ていないのですが,「源氏物語」を書いた紫式部が主人公のドラマ。 前回の放送では,「枕草子」を書いた清少納言も出ていました。 「枕草子」が「をかし」の文学と言われる…
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「最も・・・」は単数か複数でもいいのか

先週,he や she の日本語訳「彼は」「彼女は」について書きましたが,どうもそれは自然な日本語ではないような違和感を抱いてきました。まあ,その原因は西洋語を訳すうえで必要となった言葉であるところにあります。 でも,英語を学び,教えてきて,いちばん違和感を持つのは最上級の訳し方です。 例えばこんな英文があります。 S…
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「恋人」としての「彼」「彼女」「彼氏」

先週,古来日本語の「彼」に性別はなかったのに,西洋語の翻訳の必要性から「彼女」という言葉が生まれたことを書きました。 ちょっと書き足りないことがあったので付け足します。 それは「恋人」の意味で「彼」や「彼女」または「彼氏」を使うことがあります。 この3つで「恋人」の意味で最も古いのは「彼女」のようです。 西洋…
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Haiku in English on Sunday (614) あざみあざやかなあさのあめあがり

日曜日は俳句の紹介と英訳。 今週初めに山形市の富神山に登ったことを書きましたが,低山とはいえ登山の楽しみの1つはいろいろな植物に出会えることです。 富神山で出会ったのは「ヤマツツジ」。 蝶が翅を休めるのは「ヒメジョオン」でしょうか。 この花の名前はわかりません。登山口あたりで咲いていました。 …
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he, she を教える(3) 単数形の they

前回は個人は様々な性自認を持つと言われる昨今,教室内でどのように he や she を教えるかについて触れました。 もう少し現状を見てみたいと思います。 こちらは私が信頼しているロングマンの辞書から。 ロングマン現代英英辞典 4訂増補版 CD-ROM2枚付 <上製版> they は通常「彼…
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he, she を教える(2) ジェンダーのこと

前回は,古来日本語には男女を区別しない「かれ」(彼)はありましたが,西洋語の翻訳の必要性から「彼」「彼女」という言い方ができていったことを書きました。 でも正直言って,普段は「彼は」とか「彼女は」なんて言い方はしないんじゃないかと感じます。 実際には名前を使ったり「あの人は」とか「あの方は」なんて言う言い方が一般的ではないかと思…
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he, she を教える(1) 「彼は」「彼女は」

英語を教えていて,he や she を「彼は」「彼女は」とよく訳しますが,疑問に思うことがあります。 本来,日本語ではそんな言い方はしたであろうか? 古語辞典を引くと かれ【彼】 ①遠称の指示代名詞。あれ。あのもの。 ②他称の人代名詞。(男性にも女性にも使って)あの人。 とあります。「彼女」と言う言葉を古典で見た…
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山形市 富神山に登る(2)

前回は山形市の富神山登山の途中にある曲森山まで登ったことを書きました。 一度下ります。ここからは富神山(とがみやま・とかみやま)を目指すだけ。 基本,坂道になりますが,それほど急ではありません。 GWの千歳山でもそうだったんですが,なぜかクマンバチ(熊蜂)がずっとついてきます。 登…
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山形市 富神山に登る(1)

GWに山形市の里山,千歳山(ちとせやま)に登ったことを書きました。 山形市には東の千歳山と並んで西の里山として知られる富神山(とがみやま)があります。 これは両方に登らなければいけません。 市街地を抜けると,山形市柏倉の西方にピラミッド状の山が見えてきます。 このあたりは「東北の関ケ原」と呼ばれる古戦場で…
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パール・バックの「大地」の蝗害 再び

前々回,パール・バックの小説「大地」から,王龍 Wang Lung たちがイナゴの襲来におびえる様子を訳してみました。 The Good Earth (Graphic Adaptation) (English Edition) - Buck, Pearl S. その後のイナゴの襲来の様子を訳していないので,今回はその続きとし…
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Haiku in English on Sunday (613) 夕薄暑髪を自由にしてやりぬ

日曜日は俳句の紹介と英訳。 猛暑までいかない初夏のこの時期の季語に「薄暑」があります。 歳時記によっては「少し汗ばむくらい心地いい暑さ」「やや暑さを感じる気候」などとありますが,最近は5月でもけっこう暑い日が続いています。 ちなみに「汗」も夏の季語。 夕薄暑髪を自由にしてやりぬ  関根誠子 (ゆうはくしょかみをじゆうにして…
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パール・バックの「大地」と locust

前回,locust という単語について書きました。ちなみに発音はこちら。 ボブ・ディランの「Day of the Locusts」では「セミ」と言う意味でしたが,それはアメリカ英語の1つの使われ方で,第一義的には辞書では このように定義されています。 locust an insect that lives mai…
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素数ゼミ(3) セミを表す英語

過去2回,素数ゼミについて書いてきました。前回はボブ・ディランがこの素数ゼミのことを歌った曲「ぜみが鳴く日」について書きました。 New Morning (Reis) (Dig) - Dylan, Bob この曲の原題は「Day of the Locusts」。 記事が長くなると思い,前回は控えましたが,セミって ci…
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素数ゼミ(2) ボブ・ディラン「せみの鳴く日」

前回は北米大陸のいわゆる「素数ゼミ」が今年221年ぶりに大量発生するだろうという記事を書きました。 「13年ゼミ」「17年ゼミ」はそれぞれが1種類と言うことではなく,「13年ゼミ」は4種,「17年ゼミ」は3種いるそうです。 不思議なのは,セミの仲間は世界中に分布しているのに,この周期ゼミという現象が確認できるのは北ア…
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素数ゼミ(1) 221年ぶりの大量発生

前回に続き,理科的なことを少し。 ネットニュースなどでも話題になっているので,聞いたことがある人も多いかと思いますが,今年のアメリカはセミの大量発生が起きるだろうと予想されています。 そのセミとは「素数ゼミ」と呼ばれるもの。写真は Wikipedia から。 セミは種類によって地上に現れる周期が異なり,それは他との…
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日本でもオーロラ 2024

短い記事です。 先日,11日の夜から12日未明にかけて北海道の各地でオーロラが観測されたそうです。 オーロラと言えば北極圏など高緯度で見られる現象ですが,これは「低緯度オーロラ」というふだんより低い緯度で見られるもので,太陽表面で起きた「太陽フレア」と呼ばれる爆発現象による磁気嵐の影響だそうです。 北海道以外でも青…
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「目くじら」って何?

このブログは英語学習ブログですが,言語と言うことで日本語についても気づいたことをよく書きます。 まあ,言葉に関係ないこともよく書きますが。 5月に入って「すべからく」について書きましたが,村上春樹氏のデビュー作「風の歌を聴け」からの引用を見逃してしまいました。 風の歌を聴け (講談社文庫) - 村上春樹 「来ないかと…
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Haiku in English on Sunday (612) 母の日の母にて母の娘にて

日曜日は俳句の紹介と英訳。 クリスマスなどは季節感のある行事ですが,日曜日とは限りません。 日曜日に決まっている行事に「母の日」「父の日」があります。となると,このコーナーで扱うのことが多くなります。 5月の第2日曜日は「母の日」。初夏の行事として定着した感があります。 母の日の母にて母の娘にて  京極杜藻 (…
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