Faulkner, Faulkner!

前回,アメリカン人作家ウィリアム・フォークナーが小説群の中で
創造した架空の土地,ヨクナパトーファ郡について書きました。
あえて「創造」という言葉を使いましたが,もうそれは神の視点です。
自分が創造主となり,同じ人物を何度も登場させ,
それは1つの神話の構築と言ってもいいのではないでしょうか。

最近では,この手法を用いているのがスター・ウォーズのシリーズ
間もなく公開の新作が待ち遠しいです。

フォークナーもフランスのフローベールからこの手法を学んだようです。
そして,架空の町で人物再登場の手法を使って書き続けました。

私がフォークナーをきちんと知ったのは大学時代。
初めて読んだのが「エミリーにバラを」という短編でした。

衝撃を受けました。
こんな作家がこの世にいたのかと。

それから,代表作を読み進めました。
私のフォークナー愛はそうやって始まりました。

これが私のフォークナー関連の蔵書。
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研究所なども多少買いました。
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普段,文庫。新書はカバーを掛けて大切に保管しています。
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私のフォークナー愛(笑)が伝わればと,蔵書を撮りました。
大学時代は学内の研究小誌に,フォークナーのある短編について
「タイトル試論」と題して文章を載せていただいたことがあります。

フォークナー・・・まず,名前がいい。
そして,ノーベル賞までとっているのに,ヘミングウエイなどのように
超メジャーではないところがいい。(米文学ではメジャーだけど)

そして,前回も書きましたが
彼が全世界に与えた影響は計り知れないものがあります。
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コロンビアの作家,ガルシア・マルケス架空の町「マコンド」を設定し
「百年の孤独」を書き,ノーベル賞を受賞しました。
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彼はノーベル賞の受賞演説の冒頭で,このように話しました。
「フォークナーが立ったのと同じ場所に立てたことはうれしい」

まったく関係ありませんが,「ガルシア・マルケス」で画像検索すると
カバンがたくさん出てきました。同名のブランド名があるんですね。

日本でもノーベル文学賞を受賞した大江健三郎さん
いろいろなところにフォークナーのことを書いています。

小説「『雨の木』を聴く女たち」にはフォークナーの小説の
一節をめぐる話が書かれています。

そして,この小説のことを「小説のたくらみ,知の楽しみ」の中で
詳しく書いています。
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大江さんがよく引用するフォークナーの言葉は

between grief and nothing I will take grief

という小説「野生の棕櫚」の一節。

「悲しみと無しかなかったら,私は悲しみを選ぶ」

深く深く,本当に苦しみ抜いた人にしか言えない言葉だと思います。

また大江さんの初期の小説には,
彼の故郷と思われる四国の村を舞台にしたものが多くあり
フォークナーの影響を本人も認めています。

また,芥川賞作家,中上健次さん
フォークナーの影響を強く受けた作家といわれています。

彼の代表作「枯木灘」では故郷の紀州に「路地」という土地を設定し
そこに生きる人々を描きました。


フォークナーはアメリカ南部にこだわり,
そこに生きる白人,黒人,先住民を描きました。

フォークナー,マルケス,大江健三郎,中上健次・・・
全員の作品に共通する言葉は「土俗」「土着」です。


その土地にこだわり,その土地を描ききることは
一見,小さい世界を描いていることに過ぎないように感じます。

しかし,そうではなく,小さい世界を描ききることは,
全世界にその世界を拡大できる
と言うことです。

オリジナルが適当なものであれば,
拡大コピーしたときに,アラが見えてしまいます。

彼らの作品にアラが見られないのは,
そこにはしっかりした普遍性が描いてあるからでしょう。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
今日の書き換え問題。初級問題。(H27仙台市内女子私立高)

This is my first visit to this town.

→ I have (  ) (  ) this town before.



ヒント
「この町を訪れるのは初めてです。」
→「私はこの町を以前に(  )。」

別の表現を用いるパターン。
「初めて」ということはこれまではなかったと言うことですね。




正解は 
I have ( never ) ( visited ) this town before.
「私はこの町を以前に(訪れたことは一度もない)。」

現在完了形の「経験」です。
not のかわりに never を用いると「一度も~ない」という意味になります。


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自分のこと
前回と今回,フォークナー愛のあまり,
マニアックな記事を書きました。  <(_ _)>

この記事へのコメント

2015年11月07日 22:08
リアルET先生がめちゃくちゃ頭が良いことは間違いありません。
2015年11月08日 07:23
花田さん
おはようございます。褒めすぎです。本好きと頭がよいことは別なので。まあ,本を読めば頭が訓練されることは間違いないとは思いますが。フォークナーのことはいつかは書きたいと思っていましたが,やっと書くことができてよかったです。
2015年11月09日 17:57
作家の名前だけは聞いたことがあっても、作品に触れる機会を得ませんでした。リアルET先生の思いがたくさん詰まった記事を拝見する度に、とても興味が湧きました。しかし難解な文章のようで、、、私のようなものに果たして読破出来ますかどうか不安です。短編から先ずは挑戦致します!
2015年11月10日 06:37
うきさん
おはようございます。マニアックな記事を読んでいただきありがとうございます。私のフォークナー愛が少しでも伝われば幸いです。お薦めは「エミリーにバラを」または「エミリーへのバラ」の名前の短編。これはフォークナーが作りだしたジェファソンという町を舞台にしているのですが,他の作品とはあまり関連がなく独立していて読みやすいと思います。驚愕のラストが待っています!

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