谷川俊太郎 「トタン屋根に降る雨」

最近,2度お通夜の席に出ることがありました。
ともに,あまりお付き合いはありませんでしたが,このような席では
最後にお坊さんから説話があります。

これまで,たくさんのお坊さんのお話を聞いてきましたが,
少し前に聞いた浄土真宗のお坊さんの話はとても印象的でした。

そのお坊さんは,詩人,谷川俊太郎さんの詩の一節を引用しました。
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トタン屋根に降る雨  谷川俊太郎

子どもだった頃から同じ音だ
落葉松の枝に散らされた雨のしずくが
不規則に屋根を打つ音はむしろ乾いていて
音楽とは似ても似つかないのが快い

凍りついた霜のような模様のガラス窓と
こてあとが残してある白い壁と
ゆがんでたてつけの悪い扉がこの家の特徴だ
毎年夥しい虫が家の中で死んでいる

もう子どもの泣き声や笑い声は聞こえない
人は年をとってだんだん静かになる
表面はどんなに賑やかでも

身近な死者が増えてきた
彼らにしてやれたことよりも
してやれなかったことのほうがずっと多い



この詩は詩集「世間知ラズ」に収められています。
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お坊さんが引用したのは,最後の3行です。

身近な死者が増えてきた
彼らにしてやれたことよりも
してやれなかったことのほうがずっと多い



これは自分に対しての後悔でもありますが,
ちょっとした決意でもあります。

今生きている者どうし,何かしてあげよう・・・と。

いろいろな人の顔が思い浮かびます。

この記事へのコメント

2018年07月20日 20:33
こんばんは!
父母や夫、親しい人を亡くしました。
してやれなかったことの何と多かったことか・・
悔やまれます(^^;

浄土真宗のお坊さんの話谷川俊太郎の詩は、
とても感銘を受けました。
彼の詩集「世間知ラズ」を図書館で
借りて読みます。
有難う御座いました(._.)
2018年07月21日 07:22
みなとさん
おはようございます。
私はこの詩を聞いたときに,祖母のことを思い出しました。してやれなかったこともそうですが,もっと話しておけばよかったという思いが強いです。
通夜や葬儀で聞くお坊さんの法話はときどき感銘を受けるものがあります。以前このブログでも書いたことがある大阿闍梨の塩沼亮潤さんの言葉が地元のFMで毎日5分の番組で聞けるのですが,録音して聞いています。
あたりまえのことをあたりまえに行う,これがすべてのことに通じるような気がします。
北海道出身の中島みゆき(美雪)さんの大学の卒論は谷川俊太郎さんについてです。彼女もすごい詩人だと思います。

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