Haiku in English on Sunday (385) とある一枚の賀状を栞とす

日曜日は俳句の紹介と英訳。
先日,初詣に行きました。「初○○」は四季とは別の「新年」の季語としてたくさんあります。
「初日の出」「初夢」「初売り」「初笑い」などは馴染み深いのですが,「初電車」「初電話」「初写真」など中には時代を感じさせるものもあります。

初詣の帰りの参道に柿の木があってこんな風景を見ました。「木守柿」です。
偶然かもしれませんが,1つだけ柿の実が木に残っています。

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以前も書いたことがありますが,翌年も豊作にと願いを込めて柿を残すのが木守柿ですが,他にも鳥への贈り物,旅人への施し,神様へのお供え物,柿への感謝などの意味があるそうです。

「木守柿」は秋または冬の季語とされますが,せっかくなので今日は「新年」の季語から1句。


とある一枚の賀状を栞とす  鷹羽 狩行
(とあるいちまいのがじょうをしおりとす)

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鷹羽狩行さんは7度目の登場か。
「俳句発想法 歳時記 冬・新年」(草思社文庫)より。

「賀状」「年賀状」「年始状」はもちろん新年の季語。
私も今年もやりとりをさせていただきました。
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でも,我が家の若い家族を見ていると,もはや書く習慣ももらう習慣もないような感じを受けます。
SNS,メール文化は「年賀状」の習慣にとって代わるのでしょうか。
いつか「年賀状」が歳時記から消える日がくるかもしれません。

この句のおもしろいところは,上五と中七の句またがりです。
5・7・5に分けるなら

「とある一・枚の賀状を・栞とす」

これでは意味が通りませんね。
それを「とある一枚の・賀状を・栞とす」と5・7・5を崩していくところに,俳句を作るために生まれてきたような鷹羽さんの冒険心を感じます。

さらに,この句の命は「とある」という「ぼかし」です。
あえて読者には伝えない「とある年賀状を書いた人物」,その人物の年賀状を大事にしおりにして読み返しているのです!

こういうことを初心者がやると,対象がはっきりしないとか破調すぎるとか言われそうです。
大御所だからこそ許される技なのか。

いいえ,それは破調とぼかしを組み合わせた鷹羽さんの手柄なのでしょう。


では,英訳してみます。

とある一枚の賀状を栞とす  鷹羽 狩行

Using a New Year's card
From a certain person
As a bookmark



a certain は,話し手にはわかっているけど,何らかの理由ではっきり言わないときに使います。

しおりにして読み返してくれているなんて,書いた人も書いた甲斐がありましたね。

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