二の腕ってどこ?
最近はなんとか記事の更新を続けていたのですが,年末とか何だかんだで少し途切れました。
今日は「二の腕」の話。
通常,「二の腕」はこの女性が気にしている部分,「肩から肘までの部分」を指します。

でも最近,この部分は昔は「一の腕」,その先が「二の腕」と言ったという話を聞いたのです。
となると,今は手首から数えて「二の腕」と言いますが,昔は肩から数えて「一の腕」「二の腕」と言ったということ?
本当でしょうか?
広辞苑を見てみましょう。
に‐の‐うで【二の腕】
肩と肘ひじとの間。上膊じょうはく。
特に説明はありません。別の辞書を見てみます。
大辞林
に-の-うで 【二の腕】
(1)肩から肘(ヒジ)までの間の部分。上膊(ジヨウハク)部。
(2)肘と手首との間の腕。[日葡]
大辞林ではまったく別の部分が同じ意味で併記され,「肘と手首の間」の出典が日葡辞書とされています。
日葡辞書(にっぽじしょ)はイエズス会によって日本語をポルトガル語で解説した辞書で,1603年に長崎で発行されました。
当時の日本語を知る重要な資料で,今では「邦訳」(右)も出ています。

この辞書では中世の日本では「二の腕」は「肘と手首の間」としています。
さらに,「一の腕」は「肩から肘までの腕」とされています。

じゃあ,どうしてその言葉の定義が変化したのか?
新明解国語辞典では・・・
にのうで【二の腕】
(一)腕のうち、肩から肘(ヒジ)までの部分。
「―まで まくり上げる/―を出す」
(二)腕のうち、肘から手首までの部分。〔現在(二)の意味で用いられることはほとんどない。もと誤用から出発した(一)が主用〕一の腕
現在使われる「二の腕」が「肩から肘」はもとは誤用とし,その意味で「一の腕」の説明もしています。
いちのうで【一の腕】
腕のうち、肩から肘(ヒジ)までの部分。 二の腕
でも「二の腕」はよく使いますが,「一の腕」なんて言葉使いますか?
もともとの日本語では「手首から肘」(前腕)を「うで」,「肘から肩」(上腕)を「かいな」と言って区別しました。
「かいな」は相撲で今でもよく聞きます。

ですから,「うで」(腕)に対して,その上を「二の腕」と呼ぶことは自然です。
となると,肩から「一」「二」と数える日葡辞書から逆転したと考えるのは不自然で,実はこのような例は日葡辞書以外に見つからないそうです。
ですから,「二の腕」が昔は逆だったの言うのは間違いのようで,そもそも日葡辞書の誤りではないかと言われています。
最後に,英語では・・・
「前腕」は forearm。
「上腕」は upper arm。

日本語のほうが英語から訳した表現なのかもしれません。
今日は「二の腕」の話。
通常,「二の腕」はこの女性が気にしている部分,「肩から肘までの部分」を指します。

でも最近,この部分は昔は「一の腕」,その先が「二の腕」と言ったという話を聞いたのです。
となると,今は手首から数えて「二の腕」と言いますが,昔は肩から数えて「一の腕」「二の腕」と言ったということ?
本当でしょうか?
広辞苑を見てみましょう。
に‐の‐うで【二の腕】
肩と肘ひじとの間。上膊じょうはく。
特に説明はありません。別の辞書を見てみます。
大辞林
に-の-うで 【二の腕】
(1)肩から肘(ヒジ)までの間の部分。上膊(ジヨウハク)部。
(2)肘と手首との間の腕。[日葡]
大辞林ではまったく別の部分が同じ意味で併記され,「肘と手首の間」の出典が日葡辞書とされています。
日葡辞書(にっぽじしょ)はイエズス会によって日本語をポルトガル語で解説した辞書で,1603年に長崎で発行されました。
当時の日本語を知る重要な資料で,今では「邦訳」(右)も出ています。

この辞書では中世の日本では「二の腕」は「肘と手首の間」としています。
さらに,「一の腕」は「肩から肘までの腕」とされています。

じゃあ,どうしてその言葉の定義が変化したのか?
新明解国語辞典では・・・
にのうで【二の腕】
(一)腕のうち、肩から肘(ヒジ)までの部分。
「―まで まくり上げる/―を出す」
(二)腕のうち、肘から手首までの部分。〔現在(二)の意味で用いられることはほとんどない。もと誤用から出発した(一)が主用〕一の腕
現在使われる「二の腕」が「肩から肘」はもとは誤用とし,その意味で「一の腕」の説明もしています。
いちのうで【一の腕】
腕のうち、肩から肘(ヒジ)までの部分。 二の腕
でも「二の腕」はよく使いますが,「一の腕」なんて言葉使いますか?
もともとの日本語では「手首から肘」(前腕)を「うで」,「肘から肩」(上腕)を「かいな」と言って区別しました。
「かいな」は相撲で今でもよく聞きます。

ですから,「うで」(腕)に対して,その上を「二の腕」と呼ぶことは自然です。
となると,肩から「一」「二」と数える日葡辞書から逆転したと考えるのは不自然で,実はこのような例は日葡辞書以外に見つからないそうです。
ですから,「二の腕」が昔は逆だったの言うのは間違いのようで,そもそも日葡辞書の誤りではないかと言われています。
最後に,英語では・・・
「前腕」は forearm。
「上腕」は upper arm。

日本語のほうが英語から訳した表現なのかもしれません。
この記事へのコメント
そうですね、「二の腕」に対して対比的に使った「一の腕」、という言い方を多少は聞きますが、単独で使った例は全く聞きません。先生のお考えの様に、腕全体を呼称する「うで」に対する「二のうで」として生まれた言葉なのでしょうね。つまり、「一のうで」という言葉は最初から無い、という事なのだと思います。
おはようございます。
「一の腕」とはまず聞かないので,「腕」があり「二の腕」が生まれたと,つまりは,「かいな」の部分が二の腕となったのではないでしょうか。日葡辞書にしか見られない例ということは誤記と考えることも可能でしょう。
日葡辞書は2018年にブラジルで4冊目が発見されるなど貴重な資料のようです。困難な時代によく長崎で出版しました。日本にそのような技術があったのでしょうか。不思議です。