浮世絵に見る年の暮れ(1) 煤払い

前回,年の瀬の大掃除と思われる一句を取り上げました。
江戸時代には(もちろん旧暦の)12月13日に煤払い(大掃除)が全国的に行われたそうです。

銭金がこうたまればと十三日

大掃除に出た煤やほこりを見て,これがお金だったらなあ,という川柳

さて,この浮世絵は喜多川歌麿画の「武家煤払の図」

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場所は武家のお屋敷
手ぬぐいを被った女中さんたちが煤払いをしたり,畳を持ち上げたり。
左下にはネズミを追い払う女性,右端には「一服しましょう」とお茶セットを持った女性。

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でも中央では男性が女性たちに持ち上げられています。

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実は煤払いの終わりには胴上げが欠かせなかったそうです。
身体を少しでも天に近づけるのが理由だそうですが,それよりも胴上げ自体を楽しんだんじゃないのでしょうか。

これは「東都歳時記」より「商家煤払い」

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ここでも胴上げされています(笑)。

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十二日から色男狙われる

胴上げは特にイケメンがねらわれるそうで,13日の煤払いの前日から誰を胴上げしようか,イケメンがねらわれるという川柳。
江戸の世に生まれて胴上げされたかった・・・。

最初の絵の右端には2人の男性が描かれています。

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赤丸の男性は,女性陣に取り押さえられて,今にも胴上げされそうです。

一方,青丸の男性は,胴上げが終わって,落とされ,笑われています。


時間軸を超えた,煤払いの日の風景画ですが,実はこの絵には裏の意味があるようです。

煤払いは12月13日。翌日14日は赤穂浪士の討ち入りの日(正確には翌日未明)。

どうも,先ほどの2人は江戸城における刃傷事件で取り押さえられる浅野内匠頭(赤丸)切り付けられた吉良上野介(青丸)のようです。

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浅野内匠頭は即日切腹,被害者とされた吉良上野介にはおとがめなし。

そして,この女性にもてあそばれているのは,復讐心をさとられないように夜な夜な花街で遊ぶ大石内蔵助

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肝心の討ち入りのシーンはどこかって?

ここです(笑)。

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煤払いにしては大げさな頭巾ですものね。

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この記事へのコメント

2022年12月26日 07:20
おはようございます。

 今日大掃除をする予定なのですが、明け放すと寒いしなあ…
 レンジ周りだけにしようかなあ…
2022年12月27日 05:57
あきあかねさん
おはようございます。
大掃除の他にブログの引っ越し,どうしましょう。
本業もまだまだ年を越せません。
ドカ雪が降っていないのが幸いです。

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