丸森町の巨石群と猫碑

何かとパソコンも開けず,久しぶりに記事を更新します。
先週,宮城県南部の丸森町の夫婦岩に登ったことを書きました。
本当は「岩岳」という山に登りたかったのですが,不動尊公園のスタッフに聞いたら,2019年の台風で被害にあった登山道を整備している段階ということで,あえて登りませんでした。

「岩岳」には私好みの奇岩があり,この山に限らず,丸森町には巨石,奇岩がたくさんあるのです。

これは夫婦岩に行く途中に見た「立石」

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この「立石」については去年の8月に登り,記事にしました。

→ 丸森町の立石 ~巨石巡礼~


こちらはあぶくま荘から筆甫地区へ向かう途中の不動尊公園の巨石
この巨石自身が駒場瀧不動尊のご神体なんだそうです。

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こちらはあぶくま荘の裏手にある高松山(?)の巨石。

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地元の人のサイトでも登山道はないそうで,登りかけたのですがあきらめました。

ネット上の画像をお借りすると,このような石が重なり合った巨石です。

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まるで人為的に組み合わせたかのようです。

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これは夫婦岩から下山した後に福島県霊山に抜ける道で見つけた道端の巨石。
(台風の影響か,霊山へは今は抜けられないようです。)

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小さな石碑があります。

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珍しい言葉。「猫神」?

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左側には「養蚕神」とあります。
丸森町ではかつて養蚕が盛んで,絹を生み出す貴重なカイコをネズミから守るために,多くの農家では猫を飼っていたそうです。

猫を神格化し,石碑を立てたり神社を建立する風習残が日本各地にありました。
あるサイトによると,猫の石碑は,長野県11基,岩手県10基,福島県8基,高知県5基,栃木県4基,青森・山形・東京は各2基,千葉・岡山は各1基あるんだそうです。

そして,宮城県は実に111基が見つかっており,その分布の中心は丸森町で,80を超えるそうです!

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碑によっては猫供養のものもあるそうで,いずれにしても日本の「猫碑」の半数以上がこの丸森町にあります。
好きな人は猫碑巡りをし,サイトで公開している人もいます。

丸森町は日本一の猫碑の町と言えそうです。

この記事へのコメント

2022年12月17日 07:30
おはようございます。

 丸森は猫神様の里ですからねぇ。
 「猫神」も「馬頭観音」も、共に養蚕の守護神ですね。

 「馬頭観音」が養蚕と何故結びつくか、ですが、、、
 カイコの幼虫の頭部が馬に似ている事から、馬頭観音が養蚕農家の守り神にされるようです。民間信仰です。

 ちなみに、「オシラ様」も馬の化身とされるのですが、こちらも養蚕業と深い結びつきがあります。

 もうひとつ、青葉区越路に1ヶ所、若林区内には2ヶ所「猫塚」と言う物があるのですが、少なくとも越路のものは養蚕とは関係がありません。若林区の連坊小路と南小泉のものは養蚕との関係が不明です。
2022年12月17日 22:45
あきあかねさん
こんばんは。馬頭観音と養蚕の関係は知りませんでした。それに仙台市内にも猫塚があるんですね。検索しました。
昔,遠縁の親戚の家が蔵王町で養蚕をしていて,家に行ったときはどこか怖いもの見たさで蚕を見させてもらいました。今は養蚕農家ってどれくらいあるんでしょうね。丸森町には5軒あるとか。
2022年12月18日 07:59
おはようございます。

 現在の養蚕農家の数は、群馬や長野を中心に、甲信、北関東、九州、南東北などの地域で三百数十軒と聞いています。
 日本の養蚕製糸業は、大戦中に輸出が途絶えたこと、大戦中に生糸の代替品としてナイロンが発明されたこと、戦中・戦後の食糧難で桑畑が食用作物の畑に切り替えられたこと等でほとんど壊滅します。
 でも、その後1950~’60年頃から復活し、養蚕技術の発展や品種改良の結果もあって、戦前のものより高品質の生糸が生産されるようになり、高価値商品の需要に応じられるようになってきています。
 しかし、養蚕は大変手間のかかる作業でして、なり手が少ないのも実態です。

 ちなみにですが、養蚕は大変歴史の古い「なりわい」ですので、日本人の生活や文化と深いかかわりを持っています。なので、私が学ぶ民俗学とも縁が深いです。
2022年12月18日 08:14
あきあかねさん
おはようございます。専門の民俗学からのお話,ありがとうございます。
蚕の好物,桑の葉で思い出すのは映画「用心棒」で三船敏郎演ずる素浪人が名前を聞かれて窓から見える桑畑を見て「桑畑三十郎,もうすぐ四十郎だがな」と答える場面。それだけ桑畑は普通だったんですね。
もう1つ思い出す映画は「あゝ野麦峠」。なぜかリアルタイムで見た記憶があります。製糸工場のいわゆる女工哀史ですが,若き日の大竹しのぶさん,原田美枝子さん,すでに名女優でした。

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