Haiku in English on Sunday (543) 初明り銀河系字地球かな

日曜日は俳句の紹介と英訳。
昨日は正月飾りを焼く左義長(仙台ではどんと祭)が行われたところも多いのではないでしょうか。
私も地域の神社に古くなったお札などを焼いてもらいに行きました。

今日は15日で,伝統的には今日までが「松の内」ですが,近年では関東を中心に7日までを松の内とするところも多いようです。

俳句の世界では四季以外の季語として,「新年」がありますが,せっかく今日までが「新年」ですし,最近「番地」を扱った記事を書いたので,その2つを合わせたような一句です。


初明り銀河系字地球かな  有馬朗人
(はつあかりぎんがけいあざちきゅかな)

小澤實著「名句の所以」の「新年」より。

名句の所以 近現代俳句をじっくり読む (澤俳句叢書) - 小澤 實
名句の所以 近現代俳句をじっくり読む (澤俳句叢書) - 小澤 實

有馬朗人氏の俳句はこのシリーズで4度目の登場か。
有馬先生は私の大師匠にあたり,俳句誌に投稿していたときに,選者としてよく採っていただき,仙台の句会に私を誘ってくださいました。

有馬朗人.jpg

俳人でもあり,物理学者であった有馬先生らしい巨視的な一句です。

季語はもちろん「初明り」。これは私が元日に撮った初日の出。

9karo14日の出.jpg

厳密には「初明り」は元日の朝,日の出前の東の空のほのぼのとした曙光を言い,荘厳感もあります。

9karo10朝焼け.jpg

太陽の恵みを受け私たちはこの地球に生きていますが,初日の出も銀河系から見ればそれは1つの地方の出来事
「字」がつく住所はどこか田舎のイメージもあります。

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まあ,邪道ですが銀河系大字太陽系字地球と言ったところでしょうか。

その「字」を宇宙の中の位置を表すのに使っているところがおおらかで,とてつもなく大きい視点に立っています。
物理学者らしい一句と言っていいでしょう。

8gala1.jpg

では,英訳してみます。

初明り銀河系字地球かな  有馬朗人

The first sunrise of the year
From the Earth
In the Galaxy



7・5・5のような破調になりました。
英語の住所は狭い場所から順に並べるだけなので,原文の英訳は難しいです。


このような巨視的な視点に立った一句として,以前正木ゆう子さんの句を取り上げたことがあります。

Haiku in English on Sunday (189) 水の地球すこしはなれて春の月

この記事へのコメント

2023年01月15日 07:26
おはようございます。

 年の初めらしく、大らかで気持ちの良い句ですね。

 我々の銀河系の星々の数は恒星だけでも4000億個と言われていますので、地球なんかは「小字」も小字、しかも、銀河の腕の端っこですので、田舎の片隅です。こんな広々とした宇宙の片隅で、年を跨いで殺し合いをしている、何と馬鹿らしいことを…
2023年01月16日 06:13
あきあかねさん
おはようございます。
今の政治家に求められるのは世界的,地球的に物事を考えられる人ではないでしょうか。本当に困ったものです。
そんな意味もあって,次の記事はある映画の話にしました。

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