Haiku in English on Sunday (544) ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない

日曜日は俳句の紹介と英訳。
前回「人生は旅」に関する英文について書きましたが,比喩ではなく芭蕉と同じように旅の人生,むしろ放浪の人生を送った俳人が種田山頭火です。

種田山頭火.jpg


ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない  
種田山頭火

(ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない)

自由律で知られる放浪の俳人,種田山頭火の句を取り上げるのは5度目か。
「季語秀句用字用例辞典」より。句集「草木塔」所収。

山頭火は度重なる家族の死に苦しみます。
その果てに,妻子を捨て出家し,熊本県の味取観音堂の堂守になりましたが,1年で観音堂を捨て,行乞漂泊の旅に出ます。
(もちろん,勝手な人という印象を持つ人もいます。)

santoka.jpg

フクロウは夜行性の猛禽類
夜の山道を山頭火が放浪していたのか小屋かどこかで寝ていたのか,フクロウの鳴き声が聞こえてきたのでしょうか。

8fukuro.jpg

フクロウは年中見られる留鳥ですが,鳴き声が冬の夜にふさわしいということで冬の季語とされます。
まあ,山頭火の句は無季で不定形が基本ですが。

フクロウは夜行性で夜に捕食活動をして生きています。眠っている暇なんてないんです。
山頭火は山頭火で,捨てた家族のことか句作のことか,眠れない夜を過ごしています。


フクロウも人間も生きるのに精いっぱいのようです。

では,英訳してみます。

ふくろうはふくろうでわたしはわたしでねむれない  種田山頭火

An owl can't sleep
As an owl and as for me
Neither can I



最後に山頭火が登場(?)する傑作小説。
丸谷才一氏の小説「横しぐれ」はミステリー仕掛けの純文学。

横しぐれ (講談社文芸文庫) - 丸谷 才一
横しぐれ (講談社文芸文庫) - 丸谷 才一

主人公の父親が旅先で出会った放浪の僧は俳人の種田山頭火だったのではないか,という回想から山頭火の句の解釈を含め,謎解きの世界が繰り広げられます。本当に読んでいて楽しい小説です。

ちなみに,この英訳「RAIN IN THE WIND」はイギリスのインディペンデント外国小説賞特別賞を受賞。

横しぐれ - SAIICHI MARUYA, 丸谷 才一, Dennis Keene
横しぐれ - SAIICHI MARUYA, 丸谷 才一, Dennis Keene

このような経緯もあってか,山頭火は俳人として海外でも知られていたり人気があるそうです。

この記事へのコメント

2023年01月22日 07:35
おはようございます。

 「出家」とは「すべてを捨て去って真理を求める事」なのですが、山頭火にとっての作句が何故「行運流水=旅する事」だったのか、、、それ自身が彼の俳句そのものなのでしょうか。
 ともかくも、一般人の目からすると、罪作りな人です。
2023年01月22日 08:14
すいません

 誤変換が有りましたので訂正します。
  誤:「行運流水」
  正:「行雲流水」

 失礼しました。
2023年01月28日 06:36
あきあかねさん
おはようございます。
返事が遅れてすみません。書くことはあるのですが,眠気と寒さと忙しさとブログの引っ越しで書いていませんでした。
山頭火の生き方は賛同できない部分はたくさんあり,教科書に載せるべき人なのかは疑問があります。まあ,作品と人格は別という考え方もありますが。
こんな人が親族にいたら困ったものです。子どものころ一度,山頭火のような風貌の物乞いの人が家に来たことがあります。あれは山頭火だったのではと考えましたが,まったく時代が合いません(笑)。

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