Haiku in English on Sunday (606) 春の灯や女は持たぬのどぼとけ

日曜日は俳句の紹介と英訳。
最近は気温も上がり,昨日半袖の人を2人見ました。
これは昨日,民家の間に植えられていた菜の花

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菜の花が見られるということは桜も近いということです。
これも昨日,蔵王連峰に沈む春の夕陽

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そして,これは一昨日の仙台駅前の様子。春の空気感を感じるのは私だけ?

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春の灯や女は持たぬのどぼとけ  日野草城
(はるのひやおんなはもたぬのどぼとけ)

「よくわかる俳句歳時記」,他より。

ハンディ版 オールカラー よくわかる俳句歳時記 - 石 寒太
ハンディ版 オールカラー よくわかる俳句歳時記 - 石 寒太

門下の俳人はたくさん扱ってきたのに,日野草城の句は初めてか。
東京生まれの俳人(1901-1956)。京都大学法学部卒。高浜虚子に師事。

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今回の句は第一句集「花氷」所収,モダンな句風は昭和俳句の先駆けとなりました。

「秋の灯」は読書が進むような透明な明かりに親しみを持ちますが,今回の季語「春の灯」はおぼろで,どことなくなまめかしさがあります。

他人と違った句を詠むためには,違った視点を持たなければなりません。
やわらかな春の灯の下で,作者が注目したのは女性の喉。

この女性の美しさを,のどぼとけが「ない」ことでいっそう際立たせて描きました。


では,英訳してみます。

春の灯や女は持たぬのどぼとけ  日野草城

Under a lamp in spring
A woman doesn't have
An Adam's apple



「のどぼとけ」の英語 Adam's apple は聖書から由来しますが,「ない」ことを詠むって,それはもう禅問答の世界です。

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この記事へのコメント

2024年03月31日 08:01
おはようございます。

 う~ん、なんだろう、この句は(笑)
 何処に気持ちを置いたら良いか分かりません(笑)
 たぶん、私も先生と同じなのかな? 最後の写真、「イオナ」のCMを思い浮かべましたが、その先どう気持ちを持って行けば良いのでしょうね?

 すいません、余計な事なのですが、ちょっと気になりましたので…
 本文中程、
『やわらかな春の灯の下で,作者が注文したのは女性の喉』
の一文ですが、『注文』は「注目」の誤変換でしょうか? 「注文」ですと、文意がだいぶ異なって取れますものですから…
リアルET
2024年03月31日 09:04
あきあかねさん
出先からとりあえず訂正しました。
ありがとうございます。
2024年04月01日 06:08
あきあかねさん
おはようございます。
確かに何が言いたいんだと言われると困ってしまいますが,この俳人はちょっと問題作を出す人でもあり,今回取り上げるかどうか実は迷った人です。でも俳句の歴史にきちんと名を残した人ではあります。