素数ゼミ(2) ボブ・ディラン「せみの鳴く日」

前回は北米大陸のいわゆる「素数ゼミ」が今年221年ぶりに大量発生するだろうという記事を書きました。

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「13年ゼミ」「17年ゼミ」はそれぞれが1種類と言うことではなく,「13年ゼミ」は4種,「17年ゼミ」は3種いるそうです。

不思議なのは,セミの仲間は世界中に分布しているのに,この周期ゼミという現象が確認できるのは北アメリカのみというところ。なお,北アメリカには周期ゼミしかいないわけではなく,周期ゼミ以外のセミも100種以上生息するそうです。

また,それぞれの素数ゼミには年次集団があり,その集団によって発生する年が異なるそうです。
ですから,今年すべての素数ゼミが大量発生するわけではなく,早いところでは来年発生する「17年ゼミ」集団もいます。

ニュージャージー州のプリンストンに「17年ゼミ」が生息する森があり,ここの年次集団は1970年6月に大量発生しました。

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この森はプリンストン大学の近くにあり,1970年6月9日にボブ・ディランはこの大学を訪れました。

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当時はベトナム戦争を巡り国論が二分されており,反戦のカリスマ,ボブ・ディランは名誉音楽博士号を授与されたのです。

そのセミの大合唱の中,キャンパスでの授賞式の様子をボブ・ディランは「Day of the Locusts」(邦題「せみの鳴く日」)に書き残しました。

この曲はアルバム「New Morning」(邦題:「新しい夜明け」)に収められています。

新しい夜明け(紙ジャケット仕様) - ボブ・ディラン
新しい夜明け(紙ジャケット仕様) - ボブ・ディラン

こちらが「Day of the Locutus」(せみの鳴く日)の出だしの部分。


Oh, the benches were stained with tears and perspiration
The birdies were flying from tree to tree
There was little to say, there was no conversation
As I stepped to the stage to pick up my degree
And the locusts sang off in the distance
Yeah, the locusts sang such a sweet melody
Oh, the locusts sang off in the distance
Yeah, the locusts sang and they were singing for me

ああ,ベンチについた涙と汗
小鳥たちは木から木へと飛んでいく
言うことも特になく,会話もなかった
僕が学位を受けようと登壇したとき
遠くでセミたちが鳴いていた
美しいメロディで
ああ,遠くでセミが歌っていた
セミたちは僕のために歌っていた



こちらは動画になります。



この曲が収められたアルバムはその年の10月に発売され,アメリカで7位,イギリスでは1位にチャートインしました。

このように歌もまた歴史の証人になるのですね。




この記事へのコメント

2024年05月16日 06:44
おはようございます。

 この曲知りませんでした。1970年6月か、、、この頃私はフォークソングに凝っていて、大抵の曲は聞いていたはずなのですが…

 冒頭、セミの鳴き声らしきものが聞こえてくるのですが、あれって本物ですか? あんな鳴き声なんだ…

 ところで、この曲では蝉を「locust」と言っていますね。気になったので調べてみました。この単語、どちらかと言えば蝉よりも「砂漠飛びバッタ」のような「飛蝗(ひこう)」、」つまり大量発生して、人間の作る作物に大被害をもたらす昆虫を指す言葉のようですね。なので、大量発生する素数ゼミにこの単語を使ったのでしょうね。
リアルET
2024年05月17日 06:06
あきあかねさん
おはようございます。
最初の鳴き声のようなもの,私も気になったのですが,ちょっとわかりません。
セミの英語ですが,長くなるので次回に回しましたが,やはり先に書かれてしまいました(笑)。