パール・バックの「大地」と locust
前回,locust という単語について書きました。ちなみに発音はこちら。
ボブ・ディランの「Day of the Locusts」では「セミ」と言う意味でしたが,それはアメリカ英語の1つの使われ方で,第一義的には辞書では
このように定義されています。
locust
an insect that lives mainly in Asia and Africa and flies in a very large group, eating and destroying crops
(主にアジアやアフリカに生息し,非常に大きな集団で飛び作物を食べ尽くす昆虫)
前回はこれって「イナゴ(蝗)の種じゃないの?」と書きましたが,大量発生するいわゆる「バッタ」。
日本語では「ワタリバッタ」と訳されるようです。
Wikipedia では,バッタのうち「サバクトビバッタ」や「トノサマバッタ」のように,大量発生などにより相変異を起こして群生相となることがあるものを言い,訳語として「イナゴ」(蝗)が与えられることもあるけど,生物学的な意味での「イナゴ」とは異なるそうです。
バッタの写真はちょっと苦手だという人も多いと思うので,イラストにしておきます。

「いらすとや」の上のイラストについた名前は「bug batta kougai」。
「kougai」とは「蝗害」のことでしょう。
大辞林では・・・
こうがい【蝗害】
バッタ類による農作物の被害。
「蝗害」から思い出す小説にパール・バックの「大地」The Good Earth があります。

GOOD EARTH - PEARL S.BUCK
「大地」「息子たち」「分裂せる家」の3部作からなります。

The Good Earth Trilogy: The Good Earth, Sons, and A House Divided (English Edition) - Buck, Pearl S.
新潮文庫では3部作を「大地」として4冊で収めています。

大地(一) (新潮文庫) - パール・バック, 格, 新居
なぜか第2巻が本棚から見つかりません。

パール・バックは自分が育った中国を舞台に王 Wang 一族を描きました。
こちらはノーベル賞受賞時のパール・バック(左)。

「大地」の第23章に「蝗害」を恐れる村人の様子が描かれています。
The men of the village watched it and talked of it and fear hung over them, for what they feared was this, that locusts had come out of the south to devour what was planted in the fields. Wang Lung stood there also, watching ; and they gazed and at last a wind blew something to their feet, and one stooped hastily and picked it up and it was a dead locust, dead and lighter than the living hosts behind.
村人たちはそれ(=雲)を見守っては,恐怖について語り合った。その恐怖とはイナゴが畑に植えられたものを食い尽くすために南からやってくる恐怖だ。王龍 Wang Lung もまた立って見ていたが,ついに村人の足もとに風が運んできたものがあった。一人が急いでかがんで拾い上げてみるとそれは1匹の死んだイナゴだった。それは死んでいるのでやがて来る生きている大群よりは軽かった。
慣例的に「イナゴ」で訳してみました。
やがて作物を食い尽くす大群がやってくる恐怖を描いた印象的なシーンですね。
この後,王龍はこう言います。
‘Now for our good land we will fight these enemies from the skies!’
「さあ,我々の土地のため,俺たちは空からやってくる敵と戦うぞ!」
でも,村人たちは「何をしても仕方がない。今年は飢饉だ」と諦めかけています。
やはり,「バッタ」「イナゴ」は locust を使っています。
ボブ・ディランの「Day of the Locusts」では「セミ」と言う意味でしたが,それはアメリカ英語の1つの使われ方で,第一義的には辞書では
このように定義されています。
locust
an insect that lives mainly in Asia and Africa and flies in a very large group, eating and destroying crops
(主にアジアやアフリカに生息し,非常に大きな集団で飛び作物を食べ尽くす昆虫)
前回はこれって「イナゴ(蝗)の種じゃないの?」と書きましたが,大量発生するいわゆる「バッタ」。
日本語では「ワタリバッタ」と訳されるようです。
Wikipedia では,バッタのうち「サバクトビバッタ」や「トノサマバッタ」のように,大量発生などにより相変異を起こして群生相となることがあるものを言い,訳語として「イナゴ」(蝗)が与えられることもあるけど,生物学的な意味での「イナゴ」とは異なるそうです。
バッタの写真はちょっと苦手だという人も多いと思うので,イラストにしておきます。

「いらすとや」の上のイラストについた名前は「bug batta kougai」。
「kougai」とは「蝗害」のことでしょう。
大辞林では・・・
こうがい【蝗害】
バッタ類による農作物の被害。
「蝗害」から思い出す小説にパール・バックの「大地」The Good Earth があります。

GOOD EARTH - PEARL S.BUCK
「大地」「息子たち」「分裂せる家」の3部作からなります。

The Good Earth Trilogy: The Good Earth, Sons, and A House Divided (English Edition) - Buck, Pearl S.
新潮文庫では3部作を「大地」として4冊で収めています。

大地(一) (新潮文庫) - パール・バック, 格, 新居
なぜか第2巻が本棚から見つかりません。

パール・バックは自分が育った中国を舞台に王 Wang 一族を描きました。
こちらはノーベル賞受賞時のパール・バック(左)。

「大地」の第23章に「蝗害」を恐れる村人の様子が描かれています。
The men of the village watched it and talked of it and fear hung over them, for what they feared was this, that locusts had come out of the south to devour what was planted in the fields. Wang Lung stood there also, watching ; and they gazed and at last a wind blew something to their feet, and one stooped hastily and picked it up and it was a dead locust, dead and lighter than the living hosts behind.
村人たちはそれ(=雲)を見守っては,恐怖について語り合った。その恐怖とはイナゴが畑に植えられたものを食い尽くすために南からやってくる恐怖だ。王龍 Wang Lung もまた立って見ていたが,ついに村人の足もとに風が運んできたものがあった。一人が急いでかがんで拾い上げてみるとそれは1匹の死んだイナゴだった。それは死んでいるのでやがて来る生きている大群よりは軽かった。
慣例的に「イナゴ」で訳してみました。
やがて作物を食い尽くす大群がやってくる恐怖を描いた印象的なシーンですね。
この後,王龍はこう言います。
‘Now for our good land we will fight these enemies from the skies!’
「さあ,我々の土地のため,俺たちは空からやってくる敵と戦うぞ!」
でも,村人たちは「何をしても仕方がない。今年は飢饉だ」と諦めかけています。
やはり,「バッタ」「イナゴ」は locust を使っています。
この記事へのコメント
なるほど、パールバックの「大地」にも「飛蝗」のシーンが登場しましたね。私が最初に思い浮かべたのは映画の「オーメン」のシーンでしたけど(笑)
やはり、「飛蝗」というと「旧約聖書」の創成期かな、と思いますが、読んだのがもう、だいぶ昔ですので、大半を忘れてしまっています。なぜかこれだけが今ふと思い浮かべたのですが、、、「ベルゼブブ」と言う魔王の名前です。「蝿の魔王」と言う別名を持つ悪魔なのですけど、「オーメン」の「飛蝗」のシーンとこれの姿が重なるんですよね。
ちなみに、「飛蝗」は「蝗(イナゴ)」と言う字を使っていますが「イナゴ」ではなく、「バッタ」の仲間の「サバクトビバッタ」や「トノサマバッタ」等のバッタの仲間の事で、生活形態が、個体数の増大などで単独生活から集団生活へと移行(「相変異(そうへんい)」と言います)した時の形態(この時の形態を「ワタリバッタ」と呼ぶこともあります)です。表面上の形態だけでなく、臓器も変化して、飛行に特化した形態に替わります。
おはようございます。
「オーメン」は見たことないような気がします。相変異についてはWikipedia からの引用のみでしたが,補足していただきありがとうございます。
それにしてもバッタが集団化するのは,単独でいるよりは大群になることで種が保存されていくという本能なんでしょうかねえ。魚群と同じ考えでいいのか?
ALTがよく話題にするのは,日本人はバッタを食べるんでしょ,ということですが,おそらくイナゴのこと。私は食べたことないし,最近の人はどうかなあ。
ただ,自分が子どもの頃,給食でクジラが出たことは最近は黙っています(笑)。