パール・バックの「大地」の蝗害 再び
前々回,パール・バックの小説「大地」から,王龍 Wang Lung たちがイナゴの襲来におびえる様子を訳してみました。

The Good Earth (Graphic Adaptation) (English Edition) - Buck, Pearl S.
その後のイナゴの襲来の様子を訳していないので,今回はその続きとしてその様子を紹介します。
本来 locust は「ワタリバッタ」のことですが,慣例的に「イナゴ」と訳します。

Then the sky grew black and the air was filled with the deep still roar of many wings beating against each other, and upon the land the locusts fell, flying over this field and leaving it whole, and falling upon that field, and eating it as bare as winter. And men sighed and said ‘ So Heaven wills,' but Wang Lung was furious and he beat the locusts and trampled on them and his men flailed them with flails and the locusts fell into the fires that were kindled and they floated dead upon the waters of the moats that were dug. And many millions of them died, but to those that were left it was nothing.
その後,空は真っ黒になり,大気はイナゴの大群の翅が触れ合って起こす底深い唸るような音で満たされ,大地にはイナゴが舞い降りた。通り過ぎていった畑はそのままであったが,イナゴが降りた畑は食べ尽くされ,冬と同じように何もなくなった。男たちはため息をついて「天命さ」と言ったが,王龍の怒りはこの上なく,イナゴを打ち払っては踏みにじった。そして作男たちが竿でイナゴの大群を打つと燃える火に落ちていったものもあれば,掘られた溝の水に溺れて死んだイナゴもあった。イナゴは何百万と死んだが,残ったイナゴにとってはなんてことはなかった。
王龍たちは7日間イナゴと戦いました。
でもイナゴの集団にとっては痛くもかゆくもないんですね。
イナゴたちは大きな被害を村に与えましたが,幸い残った畑もありました。
(これはイナゴの戦略なんでしょうか?)
イナゴと村人の戦いが描かれたシーン。きっとパール・バックは育った中国でそんな場面を見たのでしょう。


The Good Earth (Graphic Adaptation) (English Edition) - Buck, Pearl S.
その後のイナゴの襲来の様子を訳していないので,今回はその続きとしてその様子を紹介します。
本来 locust は「ワタリバッタ」のことですが,慣例的に「イナゴ」と訳します。

Then the sky grew black and the air was filled with the deep still roar of many wings beating against each other, and upon the land the locusts fell, flying over this field and leaving it whole, and falling upon that field, and eating it as bare as winter. And men sighed and said ‘ So Heaven wills,' but Wang Lung was furious and he beat the locusts and trampled on them and his men flailed them with flails and the locusts fell into the fires that were kindled and they floated dead upon the waters of the moats that were dug. And many millions of them died, but to those that were left it was nothing.
その後,空は真っ黒になり,大気はイナゴの大群の翅が触れ合って起こす底深い唸るような音で満たされ,大地にはイナゴが舞い降りた。通り過ぎていった畑はそのままであったが,イナゴが降りた畑は食べ尽くされ,冬と同じように何もなくなった。男たちはため息をついて「天命さ」と言ったが,王龍の怒りはこの上なく,イナゴを打ち払っては踏みにじった。そして作男たちが竿でイナゴの大群を打つと燃える火に落ちていったものもあれば,掘られた溝の水に溺れて死んだイナゴもあった。イナゴは何百万と死んだが,残ったイナゴにとってはなんてことはなかった。
王龍たちは7日間イナゴと戦いました。
でもイナゴの集団にとっては痛くもかゆくもないんですね。
イナゴたちは大きな被害を村に与えましたが,幸い残った畑もありました。
(これはイナゴの戦略なんでしょうか?)
イナゴと村人の戦いが描かれたシーン。きっとパール・バックは育った中国でそんな場面を見たのでしょう。

この記事へのコメント
幸いにも日本では飛蝗による蝗害はほとんど起きませんでした。(北海道では多少は発生しらしいのですが、よくわかりません) それは日本の耕作地が飛蝗が発生するには矮小なのと、植物相が多彩で密な為でした。
でも、飛蝗ではないイナゴの食害は私の子供の頃まではよくあって、小学校では毎年夏には「イナゴ捕り」が行われていました。捕ったイナゴは業者が買い取って行って、そのお金で顕微鏡などの教材を揃えていました。
「イナゴ捕り」と「ホウキギ採り」は毎年の学校行事になっていたのですが、理科や社会科の校外学習の場にもなっていました。私自身も、担任が理科・算数の先生でしたので、こうした校外学習で色々な事を教わりました。
おはようございます。
イナゴ取りはなかったような気がするのですが,中学校のとき,校地内の「梅とり」行事がありました。とった梅を業者に売って何かを買っていたと思います。
不思議なのはイナゴは食べ尽くさずに少し耕地を残したのは,人を生かしていくという策略か何かが本能としてあるのでしょうか。七人の侍の野武士たちが村を襲わずに秋の収穫が終わってからまた来ようと言っていたのを思い出します。