he, she を教える(3) 単数形の they
前回は個人は様々な性自認を持つと言われる昨今,教室内でどのように he や she を教えるかについて触れました。
もう少し現状を見てみたいと思います。
こちらは私が信頼しているロングマンの辞書から。

ロングマン現代英英辞典 4訂増補版 CD-ROM2枚付 <上製版>
they は通常「彼ら」「彼女ら」「それら」と複数の代名詞として教えられます。
でも,辞書内のこの記事を見てください。
GRAMMAR
You can use they, them, and their to refer to a single person when you do not want to show that the person is male or female. People do this because they want to avoid suggesting that the person can only be male, or using longer expressions such as 'he or she', 'him or her' etc
• If anyone doesn't like it, they can leave.
• When a friend upsets you, do you tell them?
• Someone has left their coat.
This use is acceptable and very common in speech, and is becoming more acceptable in writing as well. However, some people consider this use to be incorrect. You can sometimes avoid the problem by making the subject plural
• If people don't like it, they can leave.
• When friends upset you, do you tell them?
<文法>
その人物が男性であるか女性であるかを示したくないときに,単数の人間に対して they, them, their を用いることができる。これを行う理由としては,その人物が男性と限定したり,「彼または彼女は」とか「彼または彼女に」のような長い表現を使うことを避けるためである。
・気に入らない方(they)は帰っていただいて結構です。
・友だちに腹が立ったら,相手(them)に言いますか?
・誰かがご自分(their)のコートを忘れていった。
この用法は受け入れられており,話し言葉においてはよくあることであると同様に,書き言葉においても年々受け入れられつつある。しかしながら,間違いだとする人もいる。主語を複数形にすることでこの問題を避けることができる。
・気に入らない方々は帰っていただいて結構です。
・友人たちに腹が立ったら,その人たちに言いますか?
これは「単数の they 」と言われるものです。
私が信頼するこの本ではイギリス政府もこの例を使っていることを紹介しています。

Practical English Usage (Practical English Usage, Third Edition) - Swan, Michael
パスポートの申請書のこんな文があるそうです。
Dual nationality: if the child possesses the nationality or citizenship of another country they may lose this when they get a British Passport.
二重国籍:もしお子さんが他国の国籍や市民権を所有しているならば,イギリスのパスポートを取得した時点でそれは失われます。
かつてなら he or she や she or he と書いていたでしょうか,「単数の they」を使っています。
最後に,ビジネスマンの名刺では自分を he, she, they どれで呼んでほしいかを書く例があります。
he で呼んでください。

she を使ってください。

they で呼んでください。

最初は驚きましたが,相手が意思表示をしていることは尊重すべきですね。
最後に,ここまでのことは現在の中学生には教えたことはありませんが,必要な時代が来ているような気がします。
もう少し現状を見てみたいと思います。
こちらは私が信頼しているロングマンの辞書から。

ロングマン現代英英辞典 4訂増補版 CD-ROM2枚付 <上製版>
they は通常「彼ら」「彼女ら」「それら」と複数の代名詞として教えられます。
でも,辞書内のこの記事を見てください。
GRAMMAR
You can use they, them, and their to refer to a single person when you do not want to show that the person is male or female. People do this because they want to avoid suggesting that the person can only be male, or using longer expressions such as 'he or she', 'him or her' etc
• If anyone doesn't like it, they can leave.
• When a friend upsets you, do you tell them?
• Someone has left their coat.
This use is acceptable and very common in speech, and is becoming more acceptable in writing as well. However, some people consider this use to be incorrect. You can sometimes avoid the problem by making the subject plural
• If people don't like it, they can leave.
• When friends upset you, do you tell them?
<文法>
その人物が男性であるか女性であるかを示したくないときに,単数の人間に対して they, them, their を用いることができる。これを行う理由としては,その人物が男性と限定したり,「彼または彼女は」とか「彼または彼女に」のような長い表現を使うことを避けるためである。
・気に入らない方(they)は帰っていただいて結構です。
・友だちに腹が立ったら,相手(them)に言いますか?
・誰かがご自分(their)のコートを忘れていった。
この用法は受け入れられており,話し言葉においてはよくあることであると同様に,書き言葉においても年々受け入れられつつある。しかしながら,間違いだとする人もいる。主語を複数形にすることでこの問題を避けることができる。
・気に入らない方々は帰っていただいて結構です。
・友人たちに腹が立ったら,その人たちに言いますか?
これは「単数の they 」と言われるものです。
私が信頼するこの本ではイギリス政府もこの例を使っていることを紹介しています。

Practical English Usage (Practical English Usage, Third Edition) - Swan, Michael
パスポートの申請書のこんな文があるそうです。
Dual nationality: if the child possesses the nationality or citizenship of another country they may lose this when they get a British Passport.
二重国籍:もしお子さんが他国の国籍や市民権を所有しているならば,イギリスのパスポートを取得した時点でそれは失われます。
かつてなら he or she や she or he と書いていたでしょうか,「単数の they」を使っています。
最後に,ビジネスマンの名刺では自分を he, she, they どれで呼んでほしいかを書く例があります。
he で呼んでください。

she を使ってください。

they で呼んでください。

最初は驚きましたが,相手が意思表示をしていることは尊重すべきですね。
最後に,ここまでのことは現在の中学生には教えたことはありませんが,必要な時代が来ているような気がします。
この記事へのコメント
実は、前回のコメントでわざとぼかした、というか書かなかったことがあります。それが「単数の they」でした。初めて聞いた時はかなり奇異に聞こえたのですが、何度か聞くうちに、「意識的に性判断を避ける手段なのだな」と気付きました。現在この表現は増えているようですね。でも、それが書き言葉が先ではなく、話し言葉から始まっているのは意外でした。
これ、中学生に対してはどのように教えるのでしょう? 「世の流れ」として教えるのですか? それとも「性差そのものの根源」から教えるのですか? 指導要領にはもうその事が含まれているのでしょうか?
おはようございます。
単数のthey はあきあかねさんが「性判断を避ける」と書きましたが,私には最初そのような発想はなく, he or she あるいは she or he が長い,面倒だという欠点を補うために生まれたのかと思っていましたが,もう1つの側面つまりジェンダーフリーと言う考えも結果的にはあるようです。伝統的な英語では最初から複数にしないと文法的に破綻してしまうという欠点があり,他にも「何番目の大統領」というように「何番目」を尋ねる表現が存在しません。英語はおそらく世界でもっとも簡単な文法構造の言語かもしれませんが,その反面欠点もあるようです。
この単数の they については現行の中学校指導要領にはもちろんありません。あれば検定教科書のどこかで出てくるはずです。来年新しい教科書に出会いますが,どうなっているのでしょう。想像ではよほど英語圏で定着しないと中学校英語には降りてこないでしょう。教科書でも「Mr.」の反対が「Ms.」になって久しいので,文科省の人たちもそのあたりは気にしているのでしょう。