「恋人」としての「彼」「彼女」「彼氏」
先週,古来日本語の「彼」に性別はなかったのに,西洋語の翻訳の必要性から「彼女」という言葉が生まれたことを書きました。
ちょっと書き足りないことがあったので付け足します。
それは「恋人」の意味で「彼」や「彼女」または「彼氏」を使うことがあります。

この3つで「恋人」の意味で最も古いのは「彼女」のようです。
西洋語の she などの翻訳の必要性から「彼女」と書いて「かのおんな」と言う言葉が生まれ,夏目漱石も使っていたことは先週書きました。

そこから音読みした「かのじょ」が生み出されました。
そこから第二義的に「恋人の女性」が使われるようになり,広く使われるようになったのが大正時代だとか。(Wikipedia 等から)
泣ぼくろ彼女もちけりけふの月 山口青邨

この句では音数から考えても「彼女」は「かのじょ」と読みますが,一義的か二義的かは微妙なところです。
「彼女」の対義語的な表現に「彼氏」があります。
(これは前にもちょっと書きましたが)これは昭和初期に誕生したそうです。
漫談家の徳川夢声の造語とされ,流行語として広まり,やがて定着したとか。

ここに於て、彼氏(カレシ)を一名,アイアン・クロウ(鉄の爪)と尊称することに相成った。
──徳川夢声 漫談集『見習諸勇列伝の巻』(1929年〈昭和4年〉刊行)
「彼女」の対義語として「彼氏」が生まれ,「彼氏」が流行語から通用語へと成長したことで,「彼」と「彼氏」が同義語として並存するようになり今に到っているようです。

日焼せる彼と彼女と町に逢ふ 高浜虚子

明治・大正・昭和に生きた巨匠・高浜虚子の句。
残念ながらいつの句かはわかりませんでした。
最後に「彼女」と「彼氏」が出てくるサザンオールスターズの「栞のテーマ」から。
「彼女」は第一義的な she の意味だと思われます。

♪
彼女が髪を指で分けただけ
それがシビれるしぐさ
心にいつもアナタだけを映しているの
(中略)
彼氏に何を云われ泣いているのか
知らないフリでも
涙の中にいつも想い出が見えるから
(以下略)
この曲を聴くたびにこの時代に生まれてよかったと思います。
ちょっと書き足りないことがあったので付け足します。
それは「恋人」の意味で「彼」や「彼女」または「彼氏」を使うことがあります。

この3つで「恋人」の意味で最も古いのは「彼女」のようです。
西洋語の she などの翻訳の必要性から「彼女」と書いて「かのおんな」と言う言葉が生まれ,夏目漱石も使っていたことは先週書きました。

そこから音読みした「かのじょ」が生み出されました。
そこから第二義的に「恋人の女性」が使われるようになり,広く使われるようになったのが大正時代だとか。(Wikipedia 等から)
泣ぼくろ彼女もちけりけふの月 山口青邨

この句では音数から考えても「彼女」は「かのじょ」と読みますが,一義的か二義的かは微妙なところです。
「彼女」の対義語的な表現に「彼氏」があります。
(これは前にもちょっと書きましたが)これは昭和初期に誕生したそうです。
漫談家の徳川夢声の造語とされ,流行語として広まり,やがて定着したとか。

ここに於て、彼氏(カレシ)を一名,アイアン・クロウ(鉄の爪)と尊称することに相成った。
──徳川夢声 漫談集『見習諸勇列伝の巻』(1929年〈昭和4年〉刊行)
「彼女」の対義語として「彼氏」が生まれ,「彼氏」が流行語から通用語へと成長したことで,「彼」と「彼氏」が同義語として並存するようになり今に到っているようです。

日焼せる彼と彼女と町に逢ふ 高浜虚子

明治・大正・昭和に生きた巨匠・高浜虚子の句。
残念ながらいつの句かはわかりませんでした。
最後に「彼女」と「彼氏」が出てくるサザンオールスターズの「栞のテーマ」から。
「彼女」は第一義的な she の意味だと思われます。

♪
彼女が髪を指で分けただけ
それがシビれるしぐさ
心にいつもアナタだけを映しているの
(中略)
彼氏に何を云われ泣いているのか
知らないフリでも
涙の中にいつも想い出が見えるから
(以下略)
この曲を聴くたびにこの時代に生まれてよかったと思います。
この記事へのコメント
新語が生まれる”母体”と言うものが有りまして、明治時代のそれは書生・旧制高校生たちで、いわゆる「書生言葉」でした。大正から昭和初期になりますと、それが女学生になって「女学生言葉」となります。その後、「若者言葉」、「ギャル言葉」となるのですが、古今通じて言えるのは、若者、特に若い女性の間から生まれる新語が多い、という事です。私も、駅や電車の中など、若い人たちが集る所で耳をすませています(笑)
今ではネットの影響が大きそうですね。となると使いこなしている若者言葉が速いスピードで全国に流布していくのでしょう。
若者言葉に耳をすますことで思い出したのが,「舟を編む」で辞書編集者が常にメモを持ち歩いてちょっとした言葉にも気を配って常にメモしている姿。看板,テレビ,新聞,広告,なんでも言葉に関するものなら気になってしまうのでしょう。映画中にもメモをとってしまいたくなりそうですね。(とるんだろうなあ)私もそちらよりの人間かも。