ジェリーフィッシュは凍らない
最近は梅雨らしい天気が続いています。大雨の地域にはお見舞い申し上げます。
今日は祝日。雨の日は読書もまたいいものです。
最近読んだ中でおもしろかった本は市川憂人著「ジェリーフィッシュは凍らない」。

ジェリーフィッシュは凍らない (創元推理文庫) - 市川 憂人
これまでの読書体験,特にミステリー小説の中ではかなり上位のワクワク・驚きの読書でした。
文庫本の著書紹介によると,作者の市川憂人さんは1976年神奈川県生まれ,東京大学卒。
2016年にこの小説で第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。
文庫本の帯にはこうあります。

『そして誰もいなくなった』への挑戦でもあると同時に
『十角館の殺人』への挑戦でもあるという。
読んでみて,この手があったか,と唸った。
目が離せない才能だと思う。―綾辻行人
小型飛行船で起こる,連続殺人の驚愕の真相!
第26回鮎川哲也賞受賞作
アガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」,そして綾辻行人さんのエポックメイキング的な名作「十角館の殺人」への挑戦!?
ちなみに私が持っている「十角館の殺人」は30年前に買ったのもの。解説はなんと鮎川哲也さん。

よく,21世紀の「そして誰もいなくなった」と言われるのですが,あるYouTube番組で,作者の市川さんが言っていたのは,意識したのは「十角館の殺人」のようです。
(またタイトルの「凍らない」の部分は悩んだようです。)
「そして誰もいなくなった」はいわゆる「見立て」と限られた空間「クローズド・サークル」の代表作と言えますが,「ジェリーフィッシュは凍らない」が継承しているのは「クローズド・サークル」のほうと言えるでしょう。
ジェリーフィッシュとはある特殊技術を用いた小型飛行船。

ただ,そのような技術はまだこの世には存在しないので,SFと言ってもいいし,別の世界の話と言ってもいいでしょう。
もちろん jellyfish とは「クラゲ」のこと。クラゲ型飛行船。
これは2014年に山形県の鶴岡市立加茂水族館,通称「クラゲの水族館」で撮ったもの。

過去記事 → やっと鶴岡市立加茂水族館へ
そんなほのぼのとした「クラゲ」の中で起こる連続事件。
裏表紙の概要を読んでみましょう。
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 精緻に描かれた本格ミステリにして第26回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。
雪山に閉じ込められた6人が「全員他殺体で発見される」。そんなことある!?
もうこれは読むしかないですね。
この小説,デビューの2016年末の「このミステリーがすごい! 2017年版」では見事10位にランクインしました。

もう1つ,この本の魅力を書けば,ミステリー小説につきものの探偵役。
この小説の舞台はアメリカを思わせるU国なんですが,事件を解決するのはマリア・ソールズベリー警部とJ国出身のレンこと九条漣刑事。
ラストシーンはハリウッド映画を見ているかのようでした。
このホームズとワトソンは「マリア&漣」シリーズとして出版が続いています。

この夏にどうですか?
今日は祝日。雨の日は読書もまたいいものです。
最近読んだ中でおもしろかった本は市川憂人著「ジェリーフィッシュは凍らない」。

ジェリーフィッシュは凍らない (創元推理文庫) - 市川 憂人
これまでの読書体験,特にミステリー小説の中ではかなり上位のワクワク・驚きの読書でした。
文庫本の著書紹介によると,作者の市川憂人さんは1976年神奈川県生まれ,東京大学卒。
2016年にこの小説で第26回鮎川哲也賞を受賞しデビュー。
文庫本の帯にはこうあります。

『そして誰もいなくなった』への挑戦でもあると同時に
『十角館の殺人』への挑戦でもあるという。
読んでみて,この手があったか,と唸った。
目が離せない才能だと思う。―綾辻行人
小型飛行船で起こる,連続殺人の驚愕の真相!
第26回鮎川哲也賞受賞作
アガサ・クリスティの名作「そして誰もいなくなった」,そして綾辻行人さんのエポックメイキング的な名作「十角館の殺人」への挑戦!?
ちなみに私が持っている「十角館の殺人」は30年前に買ったのもの。解説はなんと鮎川哲也さん。

よく,21世紀の「そして誰もいなくなった」と言われるのですが,あるYouTube番組で,作者の市川さんが言っていたのは,意識したのは「十角館の殺人」のようです。
(またタイトルの「凍らない」の部分は悩んだようです。)
「そして誰もいなくなった」はいわゆる「見立て」と限られた空間「クローズド・サークル」の代表作と言えますが,「ジェリーフィッシュは凍らない」が継承しているのは「クローズド・サークル」のほうと言えるでしょう。
ジェリーフィッシュとはある特殊技術を用いた小型飛行船。

ただ,そのような技術はまだこの世には存在しないので,SFと言ってもいいし,別の世界の話と言ってもいいでしょう。
もちろん jellyfish とは「クラゲ」のこと。クラゲ型飛行船。
これは2014年に山形県の鶴岡市立加茂水族館,通称「クラゲの水族館」で撮ったもの。

過去記事 → やっと鶴岡市立加茂水族館へ
そんなほのぼのとした「クラゲ」の中で起こる連続事件。
裏表紙の概要を読んでみましょう。
特殊技術で開発され、航空機の歴史を変えた小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉。その発明者であるファイファー教授を中心とした技術開発メンバー6人は、新型ジェリーフィッシュの長距離航行性能の最終確認試験に臨んでいた。ところが航行試験中に、閉鎖状況の艇内でメンバーの一人が死体となって発見される。さらに、自動航行システムが暴走し、彼らは試験機ごと雪山に閉じ込められてしまう。脱出する術もない中、次々と犠牲者が……。21世紀の『そして誰もいなくなった』登場! 精緻に描かれた本格ミステリにして第26回鮎川哲也賞受賞作、待望の文庫化。
雪山に閉じ込められた6人が「全員他殺体で発見される」。そんなことある!?
もうこれは読むしかないですね。
この小説,デビューの2016年末の「このミステリーがすごい! 2017年版」では見事10位にランクインしました。

もう1つ,この本の魅力を書けば,ミステリー小説につきものの探偵役。
この小説の舞台はアメリカを思わせるU国なんですが,事件を解決するのはマリア・ソールズベリー警部とJ国出身のレンこと九条漣刑事。
ラストシーンはハリウッド映画を見ているかのようでした。
このホームズとワトソンは「マリア&漣」シリーズとして出版が続いています。

この夏にどうですか?
この記事へのコメント
へ~、面白そうですね。
密室ものって、もうネタ切れかも、って思っていたのですが、この様な切り口も有るんですね。あとはトリックがどういうものなのか、ですが…、もちろん、それは読んでからのお楽しみですね。
おはようございます。
閉ざされた空間の中で,6人全員がなぜ「他殺」死体で見つかるのか?
そういうトリックも大事ですが,いい作家は人が描けていると思うんです。マリアと漣のコンビの会話が秀逸で,大雑把で理系の弱いマリアと冷静沈着な漣の会話はどんどん物語を読み進めさせてくれます。まあ白人女性とアジア人男性のステレオタイプコンビと言ってしまえばそうなんですが。この夏に読みたい本が山積みです。