一般の人々の寄進 dedication bench

前回は著名人が寄進したと思われる灯籠や鳥居について書きました。
それは地域や神仏を大事にする尊い行為だと思います。

でも,それは著名な人だけがすることではなく,一般の人も多く寄進しています。
これは四国の金毘羅山に行ったときの写真。石に刻まれたたくさんの人々の名前。

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これは宮城県白石市の萬蔵稲荷に寄贈された歴史ある鳥居と寄贈者の名前。

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話はちょっと飛ぶんですが,カナダの話。
私がカナダの西海岸のバンクーバーに行ったのは約30年前。

あまり写真を撮らなかったのは心残りですが,これは泊まったホテルからのバンクーバー。都会です。

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バンクーバーにはスタンレーパークという広大な公園があります。
これは先住民のトーテムポールを撮った写真。

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これは Wikipedia からのスタンレーパークの写真。公園の中には水族館もあったりして,とても広い。

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この公園を訪れたときに,現地の人が教えてくれました。
公園にはたくさんのベンチがあり,そこにはプレートが貼ってある。そこにはメッセージが書いてあり,その権利を買うんだそうです。

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例えば,銀婚式を記念してとか,亡き祖父の思い出を残すためとか。
メッセージを残したい市民と,財政を負担してもらう市の持ちつ持たれつの関係。
私も仙台市長になったら,やってみたいなと思いました(笑)。

写真を撮ってこなかったのは残念です。ネット上からお借りしていくつか紹介します。

古いベンチですね。何か書いてあります。

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デイヴ・フィールドハウス 1941-2001
愛情に満ちた夫であり父親。あなたの笑顔を忘れない。
この景色を楽しんでね。愛を込めて,ベアニー,ブライス,キャリー



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ショーン・ロジャーズ=ティアニー
我等の素晴らしき息子,兄弟,夫,そして父親
永遠に愛される存在



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「パトリシア・マーティンはよくゴードンと一緒にここに座っていた。
沈む太陽や錨をおろしている船の数々をうっとり見つめながら
時には水平線の向こうの未知の世界を夢見ながら。」



亡くなった方への思いが多いですね。
中には著名な方へのメッセージもあります。

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我等の戦士,キャスリン・バイヤーの愛すべき思い出に
最愛の母親,娘,姉妹,そして友人
創意に満ちた教え子の家族に永遠に忘れられることはない


キャスリン・バイヤー(ケイ・バイヤー)はアメリカの詩人で教師。

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最後は,このベンチのプレートです。

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ノダル・クマリタシュヴィリ,若きグルジア(ジョージア)のオリンピック選手
2010年バンクーバーオリンピックの初日に衝突事故で命を落とした
あなたが残したものは今でも生きています!



ノダル・クマリタシュヴィリはリュージュの選手
開幕直前の練習中にコースを飛び出し亡くなりました。

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事故の直後に行われた開会式でグルジア選手団は入場行進のみ参加
腕には喪章をつけました。

開会式では彼のために黙祷も行われました。
まだ21歳でした。


このような人々の思い出をベンチに残す試みは,それを求める人がおり,市がそれを推進する。
とてもいい事業だと思います。

このようなベンチはいろいろな都市で実施されているようで dedication benchtribute bench 等の呼び方があるようです。

ちなみにバンクーバーでは・・・

A donation of $8500 will fund a personalized dedication for 10 years.

8,500ドルの寄付で10年間の個人向けの献呈を賄うようです。

Dedications expire 10 years from the date of installation and can be renewed at the rate in place at the time of renewal. If we are unable to contact you, the site will be made available for others to dedicate.

この寄進は取付の日から10年間で満期終了となり,その時期の金額で更新することができます。もし,当局があなたに連絡できないときは,その場所は他者が使用可能となります。


ちょっと高い気もしますが,10年と考えれば妥当か。
他の都市では半分以下のところもありました。

永久でないところが公共機関的だと言えばそうですね。



この記事へのコメント

2024年08月30日 06:14
おはようございます。

 欧米では”寄付”の文化が根付いていますね。「報謝」と言う気持ちが根底にあるからなのでしょうか。
 いつも「なんだかなあ…」と思っている制度に「ふるさと納税」があります。元は地方行政を個人で応援する趣旨だったのですが、結局は名物の”お取り寄せ”になってしまいました。日本には”寄付”の文化は根付かないのでしょうかねぇ… 時をさかのぼれば、そういう事例もたくさん見つかるのですけど。
2024年08月31日 05:28
あきあかねさん
おはようございます。ふるさと納税は制度そのものが破綻しています。これじゃ基本的な納税が損しているような印象を増長するだけじゃないですか。何かもらえないとしないとか,ポイントつかないとマイナンバーつくらないとかこの国の人はお上からのもらいものに弱すぎるのでは・・・。