Haiku in English on Sunday (635) 雲海へ紅葉吹き散るななかまど

日曜日は俳句の紹介と英訳。
前々回,熊野岳をバックにナナカマドの実がなっている写真を載せました。

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また,岩手県の八幡平のことを書いたときは載せなかったんですが,八幡平でも赤いナナカマドの実がなっていました。

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ナナカマド(七竈)は北海道や東北の低地では街路樹として植えられることがあります。でも東京以西の低地では暑すぎて育たないんだそうです。

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高地では小低木になることが多く,秋には紅葉し,実をつけます。

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「ななかまど」「ナナカマド」「七竈」はもちろん秋の季語
紅葉の美しさはもちろん,小粒の赤い実がふさふさと集まる様子も俳句向きですね。


雲海へ紅葉吹き散るななかまど  岡田貞峰
(うんかいへもみじふきちるななかまど)

「新版・俳句歳時記」(雄山閣出版)より。

俳句歳時記 新版 - 新版 俳句歳時記編纂委員会
俳句歳時記 新版 - 新版 俳句歳時記編纂委員会

岡田貞峰氏は東京都出身で水原秋櫻子に師事。「馬酔木」の重鎮で,今年96歳。

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ご高齢でも活躍中なのは登山で鍛えた体があるからだとか。
きっと,この句も登山のなかから生まれた句なのでしょう。

ナナカマドの色づいた葉が風に吹かれて雲海の中に散っていった。

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「雲海」は夏の季語とされますが,寒暖差により秋のほうが出やすいイメージがあります。
この句の主たる季語は揺るぎのない視点の中心にある秋のナナカマドでしょう。


では,英訳してみます。

雲海へ紅葉吹き散るななかまど  岡田貞峰

To the sea of clouds
Red leaves were blown away
From the trees of rowan



最後に,ナナカマドの木は材質が堅く燃えにくく,窯に7度入れても炭にならないところから,その名がついたそうです。



この記事へのコメント

2024年10月20日 06:23
おはようございます。

 仙台ではあまり聞かないのですが、岩手や長野、北海道等ではナナカマドの実で「ナナカマド酒」を作ります。いわゆる果実酒、リキュールです。赤ワインのような深い赤の美しい果実酒になります。味は、作る人や、その年によって若干違うのだそうですが、私が御馳走になったのは、ちょっと渋みが残った、甘酸っぱく美味しいものでした。
2024年10月20日 07:14
あきあかねさん
おはようございます。
ナナカマド酒,初めて聞きました。酸っぱそうですが飲んでみたいです。
秋から冬にかけて赤い実の植物が増えますが,ナナカマドとナンテン(南天)は似ていて,秋と冬の違いくらいしか意識していません。この季節に赤い実が多いのは生き残るためのアピールなのかなあ。
2024年10月20日 07:39
すいません、ちょっとしたトリビアなのですが、、、

 ナナカマドの実とナンテンの実、どちらも赤々と美しく、美味しそうに見えるのですけど、生食は渋み・えぐみが強く、とてもまずいです。なんでも貪欲に唾む、あのヒヨドリでさえ食べません。我が家のベランダにも南天が植えてあるのですが、やってくるスズメやヒヨドリ、ハト、いずれも食べた気配が有りません。ただ、南天の若い葉は、たまに雀が啄んでいます。
2024年10月21日 05:19
あきあかねさん
おはようございます。
となると,なぜあんなに生き物の目を惹きつける真っ赤な実なんでしょうね。
普通は鳥などに食べてもらって種を増やすのに。これは人を惹きつけ観賞用に生き残る選択なのか,あるいはそうだったから生き残ったのかなあ。まあ,生き残っている種にはすべてなんらかの理由があるのでしょうが。