大の月 小の月 英語圏ではどう覚える?

もうすぐ12月。「11月は何日まである?」
生徒に聞くと「31日?」「30日?」・・・どうも知らないようです。

江戸時代は大の月,小の月が固定されていませんでした。
これは,寛政二年(戌年)の大小暦。イヌがいて,そして太字が大の月だということがわかります。

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江戸の世は年によって大・小の月が異なるので,このような暦が贈答品として重宝がられたのです。

現在,小の月は「2・4・6・9・11月」と固定されています。

よく「西向く士(さむらい),小の月」と覚えますが,これは天保8年(1837年)の大小暦を覚えるために作られた語呂合わせなんだそうです。

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この「西向く士」,みんな知っているのかと思ったら,知らない同僚もいました。

でも,その同僚はこぶし(拳)を使った覚え方で確認するそうで,これはよく生徒も知っています。

左手のこぶしの突起部分と間のくぼみを左から順に数えると,突起部分が大の月,くぼみが小の月です。(手の表裏を逆にしても同じです。)

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8月からは折り返して数えます。(右手を使う方法もありますが同じです。)

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さて,前置きが長くなりましたが,英語圏の人はどう覚えるのか? 
「2・4・6・9・11 西向く士」のような覚え方があるのか?

カナダから来ているALTに尋ねてみました。

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彼が教えてくれたのは,やはりこぶし(knuckle と valley)を使うやり方。

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そして,こんなことも言っていました。

「覚える歌があったような気もするけど,自分は知らない・・・」

もしかすると,これかもしれません。検索して出てきた詩です。

Thirty days hath September,
April, June, and November;
All the rest have thirty-one,
Excepting February alone,
And that has twenty-eight days clear
And twenty-nine in each leap year


(hath は古英語の has)

30日あるのは9月,
4月,6月と11月。
残りは全部31日。
ただ2月だけは
28日しかないし
うるう年は29日。



2行ずつ韻を踏んで,しっかり詩になっています。



この記事へのコメント

2024年11月30日 06:02
おはようございます。

 「hath」って、「have」の古語なんですね。へ~、でした。
 この詩、よくできているのですが、何しろ長い! 「西向く士」には勝てないですね(笑)

 思ったのですが、数字を暗記する語呂合わせ、日本語ではやりやすいのは何でなのでしょうね。音節が短いからなのかしら? それとも助詞があるからなのかしら?
2024年11月30日 20:33
あきあかねさん
こんばんは。
英語にも acronym という虹の色や五大湖の名前の覚え方があります。
https://studyenglishreal.seesaa.net/article/201201article_24.html

また,mnemonic という円周率の覚え方があります。
https://studyenglishreal.seesaa.net/article/201305article_14.html

語呂合わせ「西向く士」とかルートの近似値の覚え方「一夜一夜に人見頃」「人並みにおごれや」「富士山麓オウム鳴く」がまさにこれですね。日本語の音には基本母音が必要で一音ずつ区切ることができるのが,この方法にあっているんだと思います。
昔何かの番組で見たと思うんですが,こういう意味のない数字の暗記に強かったのが中国人でした。彼らは数字の音を膨大な漢字の中から同じ音の字を選び,結び付け組み合わせ意味を持たせて暗記していくようです。
新川帆立さんの小説に出てくる刑事は,200人だったか宿泊名簿とそれぞれの情報をコピーもせずにどうやって持ち出したか? なんとその方法は「暗記」ですが,作者本人もまあ不可能でしょうねと言っていました(笑)。
のぶちゃん
2024年12月02日 19:19
明治3年生まれのばあちゃんに教えて貰った覚え方は「にしむくサムライ」「にしむくトイチ」でした。
小学校もない時代に生まれたばあちゃんは物知りで色んなことを教えてもらいました。
「みやさんみやさん お馬の前で ヒラヒラするもの なんじゃいな とことんやれとんとんやれな あーれは朝敵征伐せよとの 錦の御旗じゃないかいな とことんやれ とんやれな」
2024年12月04日 06:08
のぶちゃんさん
おはようございます。「西向く士」を知らない同僚がいたのは驚きですが,こういうのもちょっとした出会いなんだと思います。
最後の歌は私にはちょっとわからなかったです・・・。
のぶちゃん
2024年12月04日 21:07
こんなのもあります。「日本勝ちゃ 日本勝ちゃ ロシア負けた」
明治政府が学制制定して義務教育化したのは明治6年です。
ばあちゃんは明治3年生まれですから学校に行ってません。でも物知りなんですよ。教えてくれたのは生活の知恵なんです。
私が母に叱られたり折檻を受けたりしていたら一緒に泣いてくれるんです。「オイオイオーイ」とね。
私が14歳の時、ばあちゃんは棺桶にはいり土葬されました。私は「オーイ オイオイオーイ」と泣きました。今ならいい薬があったでしょうに。
因みに爺さんは慶応2年生まれでした。
武家のおばさんが「お歯黒」しておられたのを覚えています。
家の御用でおばさん宅に「ごめんください」と言いますと「どーれ」と言って出てこられました。小田原の北條氏が殿様でして校章が三つ鱗でした。
僅か三万石でしたがいいお殿様だったようです。こんな話、御免なさい。
2024年12月08日 07:13
のぶちゃんさん
おはようございます。
返事が遅くなってすみません。
のぶちゃんさんの話を聞くと,令和の今でもまだ江戸の世とつながりがあると思えてきます。私が知っている人は明治生まれの曾祖母が一番年上の人でした。
お歯黒のおばさんの話は驚きました! お歯黒の人の記憶がある人も珍しいのでは。
こちらは昨日雪が舞いました。寒くなってきました。