Fake it till you make it.

NHKテレビに中井貴一さんがナレーションを務める「サラメシ」と言う番組がります。
「ランチをのぞけば 人生が見えてくる」というコンセプトのもと,働く人々の昼ごはんの裏に秘められたこだわりやエピソードをさぐる番組です。

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私は熱心な視聴者ではないんですが,今月放送されていたのを偶然見たときに,ある大手スポーツ用品会社の新入社員が登場し,番組とは直接関係はないのですが,彼の座右の銘が書いてありました。それが・・・

Fake it till you make it.

「やり遂げるまでは偽れ」??


なんか新入社員っぽくないし,英語だし,そもそもこれは元からある言葉なのか?

英語のいわゆる「ことわざ」にはないようです。分解してみましょう。

fake はよく形容詞や名詞で「偽の」「偽物」の意味でよく使われますが,これは動詞です。

fake
1 to make something seem real in order to deceive people:
 人々をだますために本物のように見せること。

例文
She faked her father's signature on the cheque.
(彼女は小切手に父親のサインを真似して書いた。)
The insurance company suspected that he had faked his own death.
(保険会社は彼が自分の死を偽装したと疑った。)
The results of the experiments were faked.
(実験結果は書き換えられた。)

2 to pretend to be ill, interested etc when you are not:
 そうではないのに,病気や興味があるなどのふりをすること。

例文
I thought he was really hurt but he was faking it.
(彼は本当にケガをしていたのにしていないふりをしていたと思う。)

3 to pretend to move in one direction, but then move in another, especially when playing sport:
 特にスポーツをしているときに,ある方向に動くふりをして別の方向に動くこと。

例文
He faked a pass.
(彼はフェイントのパスを出した。)


原義的には「だますために何らかのふりをする」ということですね。

make it
to be successful at something, for example in your job:
例えば仕事で成功する

例文
He came to the US and not only made it but made it big (=was extremely successful).
(彼はアメリカにやって来て,成功しただけでなく大成功を収めた。)



Fake it till you make it. に話を戻すと・・・

「成功するまではごまかせ」
「上手くいくまでは上手くいっているふりをしろ」


ということですね。
ことわざではないにしても,検索するとある程度の成句として出てきます。

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新入社員さんにとって仕事は新しいことの連続。
最初からできるはずもありませんが,相手側にとってはそんなことは関係ありません。

新人だからとおどおどするのではなく,慣れた者のようにふるまえと肝に銘じているのでしょうか。

また,現場には目標としたり理想像とする先輩がいるもの。
そんな理想の人物をモデルとしながら,そんな人物のようにふるまってみるのも一つの手です。

最初はそうでも,後に自分のやり方が見つかってくるでしょう。

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教員不足が叫ばれています。
変な研修を押しつけたり,定額働かせ放題のブラックな体制を改善しないツケでしょう。

世の中少しはよくなっているような気はしますが・・・。



この記事へのコメント

2024年12月28日 08:03
おはようございます。

 この言葉、好意的に意訳するならば、「能ある鷹は爪隠す」かなあ…
 でも、たぶんこれはそのままの意味なのでしょうね。いかにもアメリカ的な処世術、というか…

 教員のあの給与制度、あれなんて言うのでしたっけ? 「定額制度」でしたっけ? あれは私も反対です。 実は、私が営業職の時代にも同じ制度が有りまして、営業職には定額の営業手当が付く代わりに残業手当が付かなかったのです。営業は自分の意志で休憩時間や労働時間を差配できるから、というのがその理由でした。実際はそうそう自由にはならなかったのですけどね。2日間徹夜して残業代ゼロ、という時も有りましたし、休日出勤も常態化していました。これは十数年前に改善されたのですけど、代わりにサービス残業が暗黙の了解になった、と言っていました。
 企業側は甘え過ぎだと、今でも思っています。
2024年12月29日 07:09
あきあかねさん
おはようございます。
こういう考え方はやはりアメリカ的ですね。実態が伴わなくても雰囲気でごまかせのようなシーンをアメリカ映画でよく見ます。トランプ氏が出てきたときに,この人のノリに勢いでいってしまえ的なことを感じましたが,国民がその人を選ぶんですから,そういう国民性と言うかマジョリティーなんでしょう。
労働時間についての話,ありがとうございます。私は後輩のために何かやってきたのかなあと思うと反省します。労働条件,少しはよくなった気がしますが,教育あるいは学校のシステムが勤務や労働と言うものと相性が良くないのか,あるいは学校がすべてを抱え込み過ぎだと思うんです。よく聞くのは,西洋の教師は授業以外は基本的に業務を持たないと言います。日本では下校してから問題を起こしても,家庭間のトラブルも学校で何とかしてくれですからね。