Haiku in English on Sunday (646) 元日の富士に逢ひけり馬の上
日曜日は俳句の紹介と英訳。
夏目漱石にこんな不思議な俳句があります。

骸骨を叩いて見たる菫かな
(がいこつをたたいてみたるすみれかな)
意味がわかりませんよね。これは教え子が翻訳したチャールズ・ラム原作「沙翁物語集」に漱石が寄せた俳句の一つ。
ちなみに,その教え子とは山形の上山出身の小松武治で,東北学院,東北大の前身・二高を卒業し,東京帝大に入り漱石と出会います。

最近では別訳「シェイクスピア物語」として文庫などで読むことができます。
先ほどの漱石の不思議な一句ですが,ハムレットのセリフが原文で添えてあるそうです。
That skull had a tongue in it, and
could sing once:
Hamlet Act. 5.Sc.1
その髑髏にも舌があったし
昔は歌だって歌えたんだ。
(「ハムレット」第五幕,第五場)
俳句の髑髏とは23年前に亡くなった王様お抱え道化師のもので,スミレ(菫)とはこのシーンの後に出てくる,最愛のオフィーリアの死を知る場面のセリフからでしょう。
漱石はスミレについてはこんな句も読んでいます。
→ Haiku in English on Sunday (191) 菫程な小さき人に生まれたし
さて,前置きが長くなり過ぎました。今年のモットーに反しています。
元日の富士に逢ひけり馬の上 夏目漱石
(がんじつのふじにあいけりうまのうえ)
夏目漱石の俳句を扱うのは9度目か。
漱石全集(昭和10年)に収められた句のうち「正岡子規へ送りたる句稿 その三十二 一月」の中の一句。
昔の東京は,いろいろなところから富士を拝むことができたと言います。
今でも運が良ければ,新幹線の窓やビルから偶然見つけることができます。

何の技巧もありませんが,「逢ひけり」なので偶然富士を見つけたのでしょう。
「馬の上」は文字どおり馬に乗っていたのか,馬の背中越しに見たのか,でも後者じゃ面白みがないですね。
ましてや,初夢で冨士を見た,なんて陳腐な組み合わせを漱石が句にするとは思えません。
では,英訳してみます。
元日の富士に逢ひけり馬の上 夏目漱石
Happened to see
Mt. Fuji on New Year's Day
Riding on a horse
毎日処方されたタミフルをのんでいるせいか,奇妙な夢ばかり見ます。
明日は社会復帰しないと・・・。
夏目漱石にこんな不思議な俳句があります。

骸骨を叩いて見たる菫かな
(がいこつをたたいてみたるすみれかな)
意味がわかりませんよね。これは教え子が翻訳したチャールズ・ラム原作「沙翁物語集」に漱石が寄せた俳句の一つ。
ちなみに,その教え子とは山形の上山出身の小松武治で,東北学院,東北大の前身・二高を卒業し,東京帝大に入り漱石と出会います。

最近では別訳「シェイクスピア物語」として文庫などで読むことができます。
先ほどの漱石の不思議な一句ですが,ハムレットのセリフが原文で添えてあるそうです。
That skull had a tongue in it, and
could sing once:
Hamlet Act. 5.Sc.1
その髑髏にも舌があったし
昔は歌だって歌えたんだ。
(「ハムレット」第五幕,第五場)
俳句の髑髏とは23年前に亡くなった王様お抱え道化師のもので,スミレ(菫)とはこのシーンの後に出てくる,最愛のオフィーリアの死を知る場面のセリフからでしょう。
漱石はスミレについてはこんな句も読んでいます。
→ Haiku in English on Sunday (191) 菫程な小さき人に生まれたし
さて,前置きが長くなり過ぎました。今年のモットーに反しています。
元日の富士に逢ひけり馬の上 夏目漱石
(がんじつのふじにあいけりうまのうえ)
夏目漱石の俳句を扱うのは9度目か。
漱石全集(昭和10年)に収められた句のうち「正岡子規へ送りたる句稿 その三十二 一月」の中の一句。
昔の東京は,いろいろなところから富士を拝むことができたと言います。
今でも運が良ければ,新幹線の窓やビルから偶然見つけることができます。

何の技巧もありませんが,「逢ひけり」なので偶然富士を見つけたのでしょう。
「馬の上」は文字どおり馬に乗っていたのか,馬の背中越しに見たのか,でも後者じゃ面白みがないですね。
ましてや,初夢で冨士を見た,なんて陳腐な組み合わせを漱石が句にするとは思えません。
では,英訳してみます。
元日の富士に逢ひけり馬の上 夏目漱石
Happened to see
Mt. Fuji on New Year's Day
Riding on a horse
毎日処方されたタミフルをのんでいるせいか,奇妙な夢ばかり見ます。
明日は社会復帰しないと・・・。
この記事へのコメント
へ~、漱石もスミレが好きだったのですね。私も好きな花です。控え目で清楚な姿ですが、力強く生きていて、健気でもあります。何よりも、黄色一辺倒の春先に見せるスカーレット色が好きなのです。
『その髑髏にも舌があったし 昔は歌だって歌えたんだ』
このセリフは私も記憶にあります。ですが、私の記憶とはちょっと違っていますので、先生が引いた例文とは訳者が違うのでしょうね。私は最初岩波文庫で読んで、後にどうしても坪内逍遥訳が読みたくて、図書館の司書の人に相談して借りてきました。「四大悲劇」は逍遥訳で読みました。韻文を詠んでいるようで好きでしたね。
そうそう、大分前、YouTubeでロックオペラのハムレットをちらと見たことがありました。聖飢魔Ⅱのデーモン小暮閣下が出ていました。かなり見ごたえがある劇になっていましたよ(笑)
もし興味がありましたら第一幕の冒頭部分だけでもどうぞ、
リンク⇒https://www.youtube.com/watch?v=1uyKshlXOpM&t=401s
おはようございます。
「髑髏の舌」の部分は引用は原文のみで私の訳なので,プロとは違った感じを受けるでしょう。坪内逍遥は全訳に挑んだので,すごいですね。私は新潮文庫の福田訳で何冊か読みました。
YouTube 見ましたが,かなりぶっ飛んでいますね(笑)。でも,そう考えるとやはりシェイクスピアの影響はいまだに健在と言うことです。こんな作家はいないですよね。