シェイクスピアとどう出会うか?

坪内逍遥に日本にシェイクスピアを広めた功績があるのは間違いないと思います。

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前回もちらっと触れましたが,漱石も太宰も彼のことを「博士」と呼んでいます。
太宰治は近代的翻案またはパロディとして「新ハムレット」という戯曲風の小説を書いてます。こんな小説からシェイクスピアに入っていくのも1つの手です。

新ハムレット (新潮文庫) - 治, 太宰
新ハムレット (新潮文庫) - 治, 太宰

太宰ははしがきにこう書いています。「此の作品を書くに当り、坪内博士訳の『ハムレツト』と、それから、浦口文治氏著の『新評註ハムレツト』だけを、一とほり読んでみた。浦口氏の『新評註ハムレット』には、原文も全部載つてゐるので、辞書を片手に、大骨折りで読んでみた。」

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私は大学時代に英文学を理解するには聖書,シェイクスピア,マザーグースを知っておかなければならない,とどこかで読んだのでシェイクスピアは福田恆存訳で数冊読みました。
でも,そのペースではメジャーな作品だけでもとても追いつけないと読んだのが,これまでも何度か触れたチャールズ・ラムが諸作品を小説風にまとめた「シェイクスピア物語」Tales from Shakespeareです。

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この本は1807年,姉メアリーとの共著と言う形で発表されました。
もともとは20編が収められているそうですが,この文庫ではその中から訳者が選んだ13編を読むことができます。

大学生の私は夢中で読んだものです。でも,残念ながら新潮文庫では絶版なのではないかと思います。

シェイクスピアとの出会いには持って来いの本で,興味を持ったら戯曲としてのそれぞれの作品の和訳,そして原本に入っていけばいいのかなと思います。誰もがシェイクスピア研究家になるわけではありませんから。

新潮文庫は古本屋や古本通販で買うことができますし,「シェイクスピア物語」は他の会社からも出ています。

偕成社文庫

シェイクスピア物語(上) (偕成社文庫4035) - チャールズ ラム, メアリ ラム, Charles Lamb, Mary Lamb, 厨川 圭子
シェイクスピア物語(上) (偕成社文庫4035) - チャールズ ラム, メアリ ラム, Charles Lamb, Mary Lamb, 厨川 圭子

シェイクスピア物語〈下〉 (偕成社文庫 4036) - チャールズ ラム, メアリ ラム, Charles Lamb, Mary Lamb, 厨川 圭子
シェイクスピア物語〈下〉 (偕成社文庫 4036) - チャールズ ラム, メアリ ラム, Charles Lamb, Mary Lamb, 厨川 圭子

岩波文庫

シェイクスピア物語 上 (岩波文庫) - チャールズ ラム, メアリー ラム, 安藤 貞雄
シェイクスピア物語 上 (岩波文庫) - チャールズ ラム, メアリー ラム, 安藤 貞雄

シェイクスピア物語 下 (岩波文庫) - チャールズ ラム, メアリー ラム, 安藤 貞雄
シェイクスピア物語 下 (岩波文庫) - チャールズ ラム, メアリー ラム, 安藤 貞雄

岩波少年文庫

シェイクスピア物語 (岩波少年文庫 546) - チャールズ ラム, メアリ ラム, アーサー・ラッカム, Charles Lamb, Mary Lamb, 矢川 澄子
シェイクスピア物語 (岩波少年文庫 546) - チャールズ ラム, メアリ ラム, アーサー・ラッカム, Charles Lamb, Mary Lamb, 矢川 澄子

中高生時代にシェイクスピアに触れるのに最適だと思います。



この記事へのコメント

2025年01月07日 07:13
おはようございます。

 御本復おめでとうございます。でも、まだまだ体力的には本調子ではないとの事ですので、ご無理なさらぬよう、ご油断なく。

 この「シェークスピア物語」、中学生時代の”読書予定リスト”には入っていたとは思うのですが、読んでいなかったと思います。内容的にはどのようなものなのですか? 評論ではないようですね。

 先生がおっしゃっている、
『英文学を理解するには聖書,シェイクスピア,マザーグースを知っておかなければならない』
には無条件で賛成です。もっとも、最近ではその”基礎教養”も変わってきているようで、「マーベリック・コミック」等の知識も必要になっているようですね(笑)。
 それと、シェークススピアは中・高校生時代に読んでおくべき、という事も言えるように私は思います。私自身、中・高校生時代にシェークスピアに嵌っていたことは後々の読書や観劇習慣に大きな影響が有りました。
2025年01月08日 06:14
あきあかねさん
おはようございます。
「シェイクスピア物語」は内容のダイジェスト版で,解説はありません。訳者によると,エッセンスをうまくまとめているらしいのですが,それが日本語訳になると,独特の英語の言い回しはもうわからなくなっています。でも,入門書としては最適だと思います。
訳者が親切なのは外した7作品の名前もきちんと書いてくれています。でも絶版だと思われるので,残念です。