「がぜん」考(2) 誤解の背景
前回,「がぜん」が本来の「急に,突然」より「とても,断然」の意味で使われているという調査結果について書きました。

「がぜん」を漢字で書くと「俄然」。「にわかのごとし」ですから,「急に」が本来の意味であることがわかります。
大辞泉より・・・
がぜん【俄然】
1 にわかなさま。
「毎年夏の初めに、多くの焼芋屋が—として氷水屋に変化するとき」〈漱石・それから〉
2 突然ある状態が生じるさま。急に状況が変わるさま。にわかに。
「梅雨があけたら—暑くなった」
では,「急に」がどうして「とても」の意味で使われるようになったのか,NHK放送文化研究所では,その背景を次のように分析しています。
1 話しことばとしてふだん頻繁に使うものではないため,本来の意味とは異なる誤解がされやすい。
2 たとえば「がぜんやる気が出てきた」という文を耳にした人が,これを「とてもやる気が出てきた」と解釈したとしても,それほど大きな問題にはならない。
3 「ガ・ゼ」といった濁音が,何となく強調表現としての勢いを感じさせる。
4 発音の似ているものとして「断然」があり,ここからの類推が働いた。
私が共感するのは特に2と4でしょうか。
「がぜんやる気が出てきた!」と言った場合・・・

「急にやる気が出てきた」「とてもやる気が出てきた」とどちらで解釈しても大きな問題にならないような気がします。
また,「がぜん」(俄然)は「だんぜん」(断然)と発音が似ていて,そちらに引っ張られた感じもします。
最後に,「がぜん」を強調の意味で使う,のは昭和の初期に流行したことがあると書いてあります。
次回につづく。

「がぜん」を漢字で書くと「俄然」。「にわかのごとし」ですから,「急に」が本来の意味であることがわかります。
大辞泉より・・・
がぜん【俄然】
1 にわかなさま。
「毎年夏の初めに、多くの焼芋屋が—として氷水屋に変化するとき」〈漱石・それから〉
2 突然ある状態が生じるさま。急に状況が変わるさま。にわかに。
「梅雨があけたら—暑くなった」
では,「急に」がどうして「とても」の意味で使われるようになったのか,NHK放送文化研究所では,その背景を次のように分析しています。
1 話しことばとしてふだん頻繁に使うものではないため,本来の意味とは異なる誤解がされやすい。
2 たとえば「がぜんやる気が出てきた」という文を耳にした人が,これを「とてもやる気が出てきた」と解釈したとしても,それほど大きな問題にはならない。
3 「ガ・ゼ」といった濁音が,何となく強調表現としての勢いを感じさせる。
4 発音の似ているものとして「断然」があり,ここからの類推が働いた。
私が共感するのは特に2と4でしょうか。
「がぜんやる気が出てきた!」と言った場合・・・

「急にやる気が出てきた」「とてもやる気が出てきた」とどちらで解釈しても大きな問題にならないような気がします。
また,「がぜん」(俄然)は「だんぜん」(断然)と発音が似ていて,そちらに引っ張られた感じもします。
最後に,「がぜん」を強調の意味で使う,のは昭和の初期に流行したことがあると書いてあります。
次回につづく。
この記事へのコメント
私も先生と同じで、断然と発音が似ていることと、そのように間違えても、通常の場合大きな問題が起こらないからだと思います。文章に起こしても、校正が入るようなものでない限り、気付かれないでしょう。
ん? 昭和初期の協調の意味で使う「がぜん」の流行? 何だろう? 「博多俄」ではないですよね? 漫画の「博多っ子純情」は昭和50年代でしたし…
おはようございます。
「博多にわか」,見たことはありましたが,この言葉初めて知りました。
昭和の流行については初めて聞きましたが,1930年の書籍に載っているのでその頃の流行なのでしょう。でも,使用例はもう無茶苦茶です(笑)。