「がぜん」考(3) 昭和初期の流行

前回,「彼はがぜんやる気が出てきた」の「がぜん」が本来の「急に」ではなく「とても」の意味で使われるようになった背景について書きました。

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そのとき,引用したNHK放送文化研究所のサイトには,こんな言葉が出てきます。

実は,この「『がぜん』を強調の意味で使う」というのは,昭和の初期に流行したことがあります。「流行は繰り返す」のでしょうか。

「がぜん」を「とても」の意味で使うのが昭和初期に流行したと書いてあります。
このことを調べていると,神永さんと言う国語辞典編集者さんのサイト「日本語,どうでしょう?」に行き当たりました。

このサイトによると・・・
「がぜん」(俄然)は昭和の初期に,すでに本来の意味とは異なる意味で使われた過去がある,と言います。

「日本国語大辞典」(日国)によると・・・

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「動作,状態を強調するのに用いた,昭和初期の流行表現」

とあり,当時の新語辞典からの例が載っているそうです。

喜多壮一郎監修「モダン用語辞典」(1930年)

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「がぜん 俄然である。別段深い意味がある訳でないが,馬鹿に流行してゐる。言葉の調子がいいからか? でたらめに何処にでも使ふ。『彼女は俄然彼に恋した』とか『野球に行ったらがぜん彼女に会った』とか」

「俄然彼に恋した」はまだわかりますが,「かぜん彼女に会った」はちょっとでたらめ。「突然,思いがけず」と言う意味でしょうか。

このような不思議な流行を経て,違った意味が定着していったのですね。



この記事へのコメント

2025年03月07日 07:04
おはようございます。

 いわゆる「書生言葉」でしょうか、見たような気もしますが、すっかり忘れていました。こうした”誤用”の流行って、いつの世にも有るんですね。「ヤバい」なんて、今や正に”ヤバい”状況になっているのですけど…、この後どう変化して行くのでしょう?
2025年03月08日 06:00
あきあかねさん
おはようございます。
「やばい」を今風の意味で使うのを初めて聞いた瞬間を覚えています。ボーイッシュな女子生徒がいて,何かの食べ物のことを「あれヤバいです」と言ったのが最初です。一瞬「?」となりましたが,プラスの意味なんだとそのとき解釈しました。