Haiku in English on Sunday (666) 地下鉄の青きシートや単物

日曜日は俳句の紹介と英訳。
前回は地下鉄のことを書きましたが,俳句の世界にも地下鉄は出てきます。
私が好きなのは・・・

地下鉄にかすかな峠ありて夏至  正木ゆう子

彼女の句には巨視的・宇宙的な視点がよく用いられ,句集「夏至」にはこんな副題が添えられています。「夏至 半年後,私たちは太陽の向こう側にいる」。

でも,今日は正木さんの一句ではなく,日常生活の中の地下鉄の一句。

地下鉄の青きシートや単物  中村汀女
(ちかてつのあおきシートやひとえもの)

電子句帳「俳句嚢」より。
中村汀女(1900-1988)は昭和の俳人で5度目の登場です。

中村汀女.jpg

季語は「単物」(ひとえもの)で「単衣」(ひとえ)とも言います。
裏のない,一重の夏の衣服
上の汀女の着物は単物なのか,裏地のある袷(あわせ)なのかははっきりしませんが。(「袷」も夏の季語。)

地下鉄に乗ったらシートの青さに夏を感じたのでしょう。しかも身に着けている単物の着物の涼しさとの素晴らしいマッチング。

ちなみに仙台市営地下鉄の東西線は青いシートです。
汀女は仙台に住んでいた時期がありますが,もちろんこのシートではありません。

2subway.jpg

他の地下鉄だと,東京の千代田線や横浜の地下鉄などに青いシートが使われているようです。
まあ,どこの地下鉄でもいいのですが,青という色彩を最大限にいかした一句ですね。


では,英訳してみます。

地下鉄の青きシートや単物  中村汀女

Blue seats
In the subway car, and
My unlined kimono



unlined は「裏地のない」の意味です。



この記事へのコメント

2025年05月25日 07:27
おはようございます。

 何気ない日常の中に季節を捉えた、中村汀女らしい俳句ですね。すっきりした情景が浮かんできて気持ちが良いです。
 ちなみにですが、地下鉄東西線のシートは夜空に七夕飾りが浮かぶデザインになっています。虫眼鏡で拡大しないと分からない大きさですが、色鮮やかな七夕飾りが付いた笹竹が織り込まれたテキスタイルです。
2025年05月26日 06:11
あきあかねさん
おはようございます。
七夕飾りのシート,見落としそうですね。なかなか地下鉄には乗らないけど,見てみます。
ちょっとしたところを見逃さない,いい句です。