村田沙耶香著「コンビニ人間」

短い記事です。
最近読んだ本に村田沙耶香著「コンビニ人間」があります。

コンビニ人間 (文春文庫) [ 村田 沙耶香 ] - 楽天ブックス
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「文學界」2016年6月号に掲載,文藝春秋より2016年7月に刊行。
第155回(2016年)芥川賞受賞作で,2018年9月には文庫版が刊行されました。

何を今さら,と言われそうですが,ちょっと読まず嫌いのところがありました。
ところが,毎週楽しみにしているBSテレ東の番組「あの本,読みました?」で取り上げられ,これは読んでいなかったなと,本を買ったというわけです。

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私が買った文庫本の帯にはこんな言葉も。

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私は「ブンガクしてるなあ!」とおもしろかったのですが,ちょっと周囲の人に聞いてみると,主人公に感情移入ができないと言います。

でも,一人称小説は,その語り手に作者の意図を読み取るのが楽しみで,感情は二の次なんじゃないかと思うんですが。

現代の生きづらさを見事に描き切っていると私は思うんですが,帯の後ろにはこんな言葉があります。

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番組や帯でも紹介されていますが,この本は世界中で読まれています。

Convenience Store Woman【電子書籍】[ Sayaka Murata ] - 楽天Kobo電子書籍ストア
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原題は「コンビニ人間」。英訳は「人間」が「woman」になっています。
原題の「人間」という普遍性が,英訳では女性(主人公)に限定されるのが残念。

番組では,アメリカでは村上春樹,村田沙耶香の次に来る作家は誰なんだと出版社が探しているそうです。



この記事へのコメント

2025年06月11日 07:04
おはようございます。

 この小説を全然知らなかったので、wikiで粗筋を読んでみました。なるほどでした。”韜晦”と言うのでしょうか。現代人の危うげな姿を描いた小説のようですね。面白そうです。
 この題名の「コンビニ人間」ですが、ダブルミーニングなのでしょうかね。若い女性たちの間でたまに使われる隠語、「ちょっとしたことで”使われる”便利な人間」と言った意味の「コンビニ人間」と、この小説の主人公の性格が似ているように思えました。
2025年06月13日 06:06
あきあかねさん
おはようございます。
小説「コンビニ人間」の中では便利な人間という意味はなく,コンビニの世界で働くことでしか生きていけない女性の話で,これは現代人のある面を象徴している話でもあります。
最初もおもしろいんですが,途中から一気に読めます。