Haiku in English on Sunday (669) 日本は水に浮く國梅雨に入る

日曜日は俳句の紹介と英訳。
俳句について毎週書いていますが,実は季語としてしっくりこないものもあります。
それは「母の日」と「父の日」です。(今日は父の日。)

この2つは日曜日なので,このコーナーで取り上げることも多いのですが,どちらもアメリカから入ってきた行事のため,どうも日本の季語としてはしっくりこないのです。
伝統的な季語ではありませんが,今では初夏のデパートの宣伝文句には欠かせません。

ということで,昨日仙台は梅雨入りしたので,「入梅」の一句。
季語としては他にも「梅雨入り」「梅雨に入る」があります。

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暦の上では,立春から135日目が入梅ですが,現在では気象庁の「梅雨入り宣言」によります。

日本は水に浮く國梅雨に入る  田中裕明
(にっぽんはみずにうくくにつゆにいる)

「俳句発想法 歳時記 夏」より。

文庫 俳句発想法歳時記 夏 (草思社文庫) [ ひらのこぼ ] - 楽天ブックス
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田中裕明さんの句を取り上げるのは2度目だと思います。

田中裕明.jpg

大阪府出身の俳人(1959-2004)で,俳壇のニューウェーブとして活躍しましたが,45歳の若さで急逝されました。

いわれてみれば,日本は四方を海に囲まれ島々で成り立っています。
それを「水に浮く國」とはおもしろい!

そんな国に容赦なく梅雨の雨が降ってきました。
その雨は川となり,大河となって海に流れていきます。



では,英訳してみます。

日本は水に浮く國梅雨に入る  田中裕明

Japan is a country
Floating on the water
Rainy season has come



田中さんがなぜ「國」を使ったのかはちょっと謎です。
浮世絵的な世界を感じますが・・・。



この記事へのコメント

2025年06月15日 06:43
おはようございます。

 「水に浮く國」ですか…、なるほど面白い見方ですね。私の梅雨のイメージは、夏の気団と冬の気団のせめぎ合い、というイメージですけど、、、味気ないですね(笑)
2025年06月16日 05:36
あきあかねさん
おはようございます。梅雨入りしたものの,真夏的な暑さがやってくるようです。昨日は8月的な空気感を感じました。ふう。
田中裕明さんは旧仮名で句作しましたが,なぜか漢字の国は旧字の「國」を使いました。「をさなくて昼寝の國の人となる」
全漢字ではないので,何か意味を持たせていたのかな。