カモン 家紋(4) スコットランドの国章

前回は Coat of arms of the United Kingdom について書きました。
イギリス国王の紋章であり,イギリスの国章でもあります。

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イングランドの象徴のライオンだけが王冠をかぶっていたり,王族がフランス出身でフランス語を使っていたことから,標語がフランス語で書かれています。

でも,前回の最後に書いたように,同じ国内でもスコットランドバージョンの国章があるんです。

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一般的なイギリス国章と比べると,盾を支えるユニコーン(スコットランド)とライオン(イングランド)の位置が逆で,それぞれの国旗を持っています。

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ここではユニコーンも冠をかぶっています。

中央の盾ですが,スコットランドバージョンはスコットランドのシンボル(黄色地に赤いライオン)が2つに増やされ,イングランドのシンボル(赤地に金のライオンが3頭)は1つに減っています。

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最上部の盾に乗る赤いライオンが持つリボンには「IN DEFENS」と書かれています。

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これは「In My Defens God Me Defend(私は守り,神は私を守る)」というスコットランド語のフレーズの略だそうです。

さらに,国章の下部にあるリボンにはラテン語で「Nemo me impune lacessit」と書かれています。

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英語にすると「No one can harm me unpunished(私を苦しめる者は必ず罰せられる)」の意味だそうで,これはシッスル(アザミ)勲章というスコットランド最高の騎士団勲章の標語で,アザミはスコットランドの国花となっています。

アザミも描かれていますが,13世紀にノルウェーのバイキングたちがスコットランドを夜襲した際に,アザミの棘を踏んでしまい悲鳴をあげ,スコットランド兵が敵襲に気づくことができたという伝説から来てるとか。


同じ国内でもスコットランドは独立の気運が定期的に高まります。
国章が違うんだったら,それはもう違う国のようなものですね。



この記事へのコメント

2025年06月16日 07:56
おはようございます。

 イングランドとスコットランドの確執ですね。国章の事も含め、よく話題になりますね。っていうか、イングランドの人達よりもスコットランドの人達の方が強く意識しているのかな?
 もし、イギリスに行けたのなら、スコットランドのパブでこの話題を魚にスコッチを飲んでみたいな(笑)

 前々回の先生のコメントに、家紋の起源は中国に有るのではないかしら、というのがありましたね。実は、日本の家紋の起源は日本のオリジナルです。そして、日本の苗字の起源とも深い関係が有ります。
 今の皇室にもその風習が残っているのですが、皇族の身の回り品には「おしるし」と言うものが付けられています。植物などを図案化した図象ですね。これが「家紋」の元祖です。
 古代、登殿の際に牛車を使ったのですけど、降殿の際などには車寄せが沢山の牛車で混雑し、自分が乗る牛車がどれだかわからなくなる、という事も起きた訳です。その為に、自分固有の図象を牛車に描き、区別が出来るようにしました。
 やがてこの”自分固有の図象”=家紋は固定化され、牛車のみならず、他の持ち物にも描かれるようになります。また、この固定化された”自分固有の図象”は、よりオリジナリティーや排他性が強くなり、上位の者から下位の者へ
、恩賞として下賜される品となったりもしました。そしてこれが進みますと、この家紋はステータス・シンボルともなって行くのです。特に下級官僚の武士階級等がそうですね。これに「氏・姓」や「名字」等も絡み、より複雑化・形式化して行きました。
 ひとつ、今も見ることが出来るもので、こうした”家紋の歴史”を感じられる事象が有ります。
 時折、総理大臣や官房長官が壇上からマスコミにに対して政府発表などのコメントをすることがありますね。あの時の演壇に「五三の桐」の紋章が描かれていますね、あれは「内閣府の紋章」なのですけど、、、
 この「五三の桐紋」は、最初後醍醐天皇から鎌倉幕府の足利尊氏に下賜され、以後代々、天皇が認めた為政者(太政官)が使う紋章となりました。それが現在まで続いているのです。約800年ですか…、長く続く習慣ですね。
2025年06月17日 06:06
あきあかねさん
おはようございます。長文のコメントで補足していただきありがとうございます。
国章について少し広げようと思いましたが,私には無理そうなのでやめました。あの内閣のマーク気になっていました。アメリカでも報道官が話すときに国章のようなものが描いてあります。
でも,シリーズは(5)で終わりかなあ。