Haiku in English on Sunday (676) 島々や千々に砕きて夏の海

日曜日は俳句の紹介と英訳。
カムチャツカの地震による津波警報が解除され,観光客が戻ってきた松島のニュースを見ました。
これは1週間ほど前に立ち寄った「松島の隠れた名所」「馬の背」です。

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馬の背は利府町にあり,細長い半島が突き出していて,先まで歩いて行けます。
これまでも何度か記事にしています。

松島の細長い土地を追え(1) 一枚の写真編
松島の細長い土地を追え(2) 実地踏査編
雪の松島(3) 馬の背 再び


さて,芭蕉は名文「おくのほそ道」に松島の句を入れませんでしたが,実際は句を詠んでいます。
「おくのほそ道」自体は紀行文に見せかけた創作(フィクション)の要素があり,松島の句を入れなかったのは全体のバランスからか,または秘すれば花,の考えからあえて入れなかったのか。

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芭蕉が松島で詠んだ句については,2013年に書いたことがあります。

→ 「おくのほそ道」に松島の句がないのはなぜ?


以前,このコーナーで取り上げたかと思っていたのですが,まだのようなので,今回取り上げます。

島々や千々に砕きて夏の海  松尾芭蕉
(しまじまやちぢにくだきてなつのうみ)

「蕉翁全伝附録」より。「島々や千々に砕て夏の海」とも。
芭蕉は松島では句を作らなかった,と言っているので,この句自体が芭蕉作か疑わしいという人もいます。

これは先日,馬の背から撮った写真の1枚。

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松島の魅力は数えきれないほどの多種多様な島々。
それはもう,人知を超えた神の創造物としか思えません。


そもそもことふりにたれど,
松島は扶桑第一の好風にして,
およそ洞庭・西湖を恥ず。
東南より海を入て,江の中三里,浙江の潮をたゝふ。
島々の数を尽して,そばだつものは天を指さし,
ふすものは波にはらばふ。
あるは二重にかさなり,三重に畳みて,
左にわかれ右につらなる。
おへるあり抱けるあり,児孫愛すがごとし。
松の緑こまやかに,枝葉汐風に吹きたはめて,
屈曲をのづからためたるがごとし。
その気色,よう然として美人の顔を粧ふ。
ちはや振神のむかし,大山ずみのなせるわざにや。
造化の天工,いづれの人か筆をふるひ,詞を尽さむ


芭蕉は「神の技を人間が言葉で表すなんてできない」と言っています。
それで,同行の曽良の句を入れて,自分の句はあえて入れない(笑)。

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では,英訳してみます。

島々や千々に砕きて夏の海  松尾芭蕉

Thousands of islands
Who broke and crushed them up?
The sea in summer



島々を砕いたのは海ですが,「造化の天工」つまり神の仕業だという本文からの意味を込めました。



この記事へのコメント

2025年08月03日 07:15
おはようございます。

 芭蕉のこの詞書、芭蕉はいったい何処から松島湾を眺めたのでしょうね。松島全体を一望したような叙述なんですけど…
 江戸時代に描かれた鳥観図等も不思議です。ドローンも航空写真も無い時代に何であの様な視点の絵が描けるのでしょう?
2025年08月03日 08:07
あきあかねさん
おはようございます。
芭蕉と曽良は塩釜から船を雇って水路で松島の雄島に入りました。「その間二里余」とあるので,けっこうな距離だったと思います。ですから海上から松島の島々を堪能し感動したのではないでしょうか。
また松島での宿は「宿を求れば,窓を開き二階を作りて,風雲の中に旅寝するこそ,あやしきまでに妙なる心地はせられる」とあり,宿の二階から松島湾の風景,夕景,夜景を見たと思われます。
今で言うドローンのような視点の鳥瞰図はよく作りましたよね。測量と言うよりは経験から描いていったのでしょうか。普通の藩の地図なんかもそうです。