Haiku in English on Sunday (702) 八雲わけ大白鳥の行方かな

日曜日は俳句の紹介と英訳。
今日から2月。3日は節分,4日はもう立春です。ちなみに「二月」は春の季語とされます。

昨日の朝,いい天気なので外に洗濯物を干していたら,空から大量の鳥の鳴き声が!
十数羽の白鳥の群れが我が家の庭の真上を西に飛んでいきました。

これは初日の出を見に福島の鹿狼山に登った帰りに立ち寄った角田市の手代木沼の白鳥

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そのときに撮った空を飛ぶ一羽の白鳥。

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「白鳥」はもちろん冬の季語で,他にも「大白鳥」「スワン」「黒鳥」
「鵠」(くぐい)は伝説や神話に出てくる白鳥の古名です。

現在,仙台の広瀬川にも白鳥が飛来しています。

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下流にも。

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「白鳥帰る」となると春の季語となり,北帰行はいつになるのでしょう? まだまだ寒そうです。


八雲わけ大白鳥の行方かな  沢木欣一
(やくもわけおおはくちょうのゆくえかな)

川名 大著「現代俳句 下」(ちくま学芸文庫)より。

現代俳句 下: 名句と秀句のすべて (ちくま学芸文庫 カ 19-2) - 川名 大
現代俳句 下: 名句と秀句のすべて (ちくま学芸文庫 カ 19-2) - 川名 大

沢木欣一は富山県出身の俳人(1919-2001)。東大文学部卒。
加藤楸邨に師事。「風」を主宰し,戦後の社会性俳句を主唱しました。

沢木欣一.jpg

今日の句は彼の代表作の1つ。
蛇笏賞の句集「白鳥」(平成7年)に収められてますが,初出は平成元年12月の「俳句年鑑」。

詞書き「昭和終り平成となりし日,瓢湖にて」とあります。
瓢湖は新潟県の白鳥の飛来地として有名。群舞する白鳥を見て詠んだのでしょう。
(写真は Wikipedia からの瓢湖)

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「八雲」は小泉八雲を思い出しますが,「出雲」にかかる枕詞「八雲立つ」から和名にしたと考えられます。
そんな神話的な雲を分け入るように大白鳥が雲の奥へと去っていきます。

それはヤマトタケルノミコト(日本武尊)が病に倒れた後に白鳥に姿を変えたという伝説をも想起させます。
作者が詞書きをあえて添えていることからも,昭和の終焉を見送る思いがあるのではないでしょうか。


では,英訳してみます。

八雲わけ大白鳥の行方かな  沢木欣一

Where are you going?
A whooper swan flew away
Into the clouds


オオハクチョウは1羽で訳しました。

沢木欣一の妻も俳人で細見綾子

沢木欣一細見綾子.jpg

彼女は今の季節に合うようなこんな句を詠んでいます。

→ Haiku in English on Sunday (387) 寒卵二つ置きたり相寄らず


この記事へのコメント

2026年02月01日 08:37
おはようございます。

 初句にはそのような深い意味もあったのですね。昭和の終わりに際しては、私も感慨深い思いがありましたが、俳句には起こせなかったですね(笑)
 奥様の句も良いですね。女性らしい心の動きが込められていて。
2026年02月02日 05:58
あきあかねさん
おはようございます。
昭和の終わりと知らなくても雄大な一句ですね。昭和最後の日,私はスキー場にいたことを覚えています。私は見なかっただけで,あのとき白鳥は大空を飛んでいたのでしょう。
奥さんの細見綾子さんは3度取り上げているのに,沢木さんほどの重鎮を取り上げていませんでした。そんな俳人はまだまだいそうです。